分けつ

中干しの水口濡るる青田かな

この辺りでは中干しが終わったようだ。

約10日間水を切っていたが、ふたたび水が張られると浮草がすぐに漂っている。
この中干しというのは行き過ぎた株の分けつを抑えるのが目的と聞くが、深くへの根張りにも効果がありそうである。
中干しを終えた株がなんだか生き生きと感じてきてたくましく見える。

青田前線下降中

平群谷見下ろす山の青田かな

平群谷の一番高い辺りの田が植田から青田のシーズンを迎えた。

落差は100メートルくらいはあろうか。
上の田から田植が始まり段々と舌に降りてゆくわけだが、さしずめ田植前線というべきか。
だから、今は青田前線とも言ってよく、あと一週間もすれば谷の底辺りも水面が隠れるほどの丈に伸びて青々とした田になるはずだ。

田んぼの真ん中に

鉄塔の影移ろへる青田かな

晴れてても、たとえ雨でも、この時期の青田は美しい。

どこまでいっても青い海原が広がるようで、風がくればささやかに揺れるほどの高さにも伸びて。
何やら工事していたが、どうやら高圧線鉄塔の掛け替えのようで、ようやくそれが完成して立派な基礎が田んぼの真ん中にでんと出現した。
コンクリートの塊のような基礎と田んぼと。
田んぼはちょっと狭苦しいような。

道半ば

農道に肩を並べし青田かな

夏至の頃植えた稲が、ようやく道路を超える高さまで伸びてきた。

全国の早いところでは、すでに稲の花が咲いているところもあろうが、盆地ではひと月以上遅い。
田んぼ地帯に敷設された県道、国道を走ると、風圧で揺れる姿が近くで見られる季節となった。
いっぽう、麦畑であったあたりは、今大豆の苗が順調に育っているようである。
雨少なく、熱暑が続くが、水はなんとか保っているようである。

盆地の用水

青田風御陵のダムの満々と
陵のダムを恃みの青田かな
陵の水いただきて田の青む

田植えの遅かった奈良盆地の田がようやく青々としてきた。

先日まで鏡のように山や空を映していた景色が見られなくなったし、田の水面すらよく見えなくなった。
陵から取水した用水路にはさかんに水が走っていて、どのように田を流れゆくのかは定かではないが、たしかに田はうるおっているようだ。
雨の少ない奈良盆地は溜め池が多い。陵の壕だって貴重な水資源なのだ。

今年の盆地の降水はまずまず。あとは、この梅雨が予定通りあがってお日様の恵みを待つばかり。

近江の米どころ

色の濃き薄き混じれる青田原

近江の米どころを新幹線が突っ走る。

稲の背もずいぶん伸びて、早いものではもう出穂が見られるのだろうか。
持ち主が違ったり、あるいは意識的に銘柄や時期を変えて植えているのかどうか分からぬが、田んぼ一枚ごとに微妙に色が違うのが目についた。
静岡あたりでは特別このようなことはなかったので面白い現象だと思った。