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一句から数へひと月今日の処暑

ブログを立ち上げてから何とか一ヶ月がたった。
まったく句が浮かばない日もあるが、ただブログカレンダーに穴をあけてはいけないという思いだけで埋めた日も多い。
振り返っても恥ずかしいものがあるが、サイトトップのブログカレンダーはこれからも常に怖い存在だ。

颯爽としたプリンス

貴公子のごと背筋一本秋刀魚立つ

秋刀魚が新鮮かどうかは目の具合もそうだが、尻尾を持って立ててみると分かるという。
ピンと一本立ちするのが活きのいいやつ。
網にのせてもあの銀色の魚体がピンと一本に伸びているのはいかにも潔いし、何より塩をふって焼くだけという単純な料理が好ましい。
大根おろし、かぼすとの3点セットは視覚的にも嗅覚的にも秋の序幕に登場する颯爽としたプリンスだともいえるのではないか。
ちなみに、自分はまずはらわたから食うことにしている。

主役交代

門灯を慕いし蝉や今朝落ちぬ

昨夜門灯に誘われて羽をばたばたさせていた蝉だろうか、今朝新聞を取りに出たところ門灯の下で一匹が腹を見せて転がっていた。
そういえば先週まであれほどうるさく鳴いていたセミ達の姿がめっきり減ったようだ。
昨夜虫の初音を聞いたが、秋冷の到来とともに庭の主役が交代したようだ。

旱天の慈雨

新涼や上掛け一枚重ねたり

昨晩は寝苦しさからようやく解放され久しぶりに気持ちよく寝られた。
昨日の大雨も旱天の慈雨というものだろう。
乾ききって熱気さえ帯びていた大地も今日は気持ちよさげである。
おかげで蚊の大襲来に悩まされていた庭や鉢の水やりからも昨日、今日と解放された。

帰省の思い出から

曲がるたび車窓かすめて遠花火

今日は遠出をした。
帰宅があやうく午前様になりそうだったので全くの推敲不足だけど、と言い訳する(笑)
実は高速道路を走っている時ふいに10年以上も昔の記憶が蘇ったのである。
お盆の帰省Uターンでの道々のことであった。
東名高速浜松あたりだったろうか、最初はフロントガラスに小さく見えていた遠くの花火が、車窓の右や左に位置を変えながら見え隠れしていたのが見る間に近づいてきて、しまいにはウィンドウからはみ出すくらいまでの大きさになり、しかもド~ンという音さえ響いたのでひどく驚いたことがある。

背びれか旗か

へんぽんと旗ひるがえる芭蕉かな

空かぎる 旗や立てたる 芭蕉かな

青々とした芭蕉の葉が風で揺らいでいた。
しなる茎から垂れる葉は魚の背びれのようでもあり、戦国武将の旗印、満艦の万国旗あるいは進水式の大漁旗が大空に揺らぐようにも見えた。
あらためて見ると芭蕉の葉というのは大きいものだ。