虫逐うて世間話の団扇かな
相槌の団扇二ふり三ふりして
団扇は風を送るためだけにあるのではない。
相づちを打つときの小道具としても、これ以上のものはないとも言える。
宮滝の象山のとある集落で、数人の主婦が一軒の車庫で井戸端会議している。
みんな手に手に団扇を持って愉しそうにしているので声を掛けてみたら、いつもより遅い移動スーパーを待ちながらの世間話だそうである。
山の水が豊富で困らないこと、稲の穂が出るのは日当たりがこの地区では遅いこと、などなど暮らしの一端などを気さくに聞くことができた。山の暮らしをちっとも不便に感じない屈託のなさがこの集落の空気を支配している。
昨日の句会には、
屯して移動スーパー待つ団扇
いくらか詠めたかなと思ったが、一票も入らず。腐らずに何度でも詠んでやるぞ。