ほんのり甘い

灌仏の盤に湯気たつ甘茶かな

今日は花祭り。

だいたい花御堂のお釈迦様は意外に小さいものである。
柄杓も小さくて、かき氷にぶっかけるシロップの柄杓ほどの大きさもない。
ちいさな柄杓だが小さなお釈迦様の頭からそそぐと全身に行き渡らせることができる。
現代の甘さになれた舌には物足りないくらい甘茶の甘味はほのかである。
だからついお代わりを頂戴してしまうことになる。

百千鳥

囀りや高度上げゆく信貴参道

ケーブルカー跡だから一直線である。

当然ながら傾斜はきつく、変化に乏しい道のうえ展望がきかないのでちっとも楽しくない。
その退屈を慰めてくれるのが鳥の声で、この時期は恋の季節だから当然賑やかかつ派手やかに鳴いてくれる。

タフなやつ

蒲公英を摘めばわが指染まりけり

すっかり根を下ろしてしまった。

蒲公英がしぶとくて、これ以上繁殖させないため絮になる前にせっせと摘んでいるのだが、それこそ毎日毎日蕾をつけては咲かせてくる。
なかには猛者の間にまじって在来の蒲公英が頑張っていて、ぽつぽつと咲かせるのがなぜだか愛しいほどだ。

簡単

山内の坊に湧いたる石鹸玉

小さなお子さんでもいるのだろうか。

今風のしゃぼん玉が塀を越えてつぎつぎと湧くように飛び出してくる。
昔の石鹸を溶かしたのと違って、今は吹かなくても液を浸したストローみたいな奴をタクトを振るようにしてやれば勢いよく飛び出すし。だれにでも簡単にできるけど、その分工夫の面白みに欠ける。
だけど小さな子でも簡単にできるのはいいことだと思うけど。

束の間の緋色

弔ひの留守居の庭の楓の芽

庭植えも鉢植えも芽生えてきた。

このいっときのぞかせるのが紅色の芽で、これがほぐれてくると徐々に黄緑色に染まってゆく。
同じ親から生まれた楓の苗木が何本かあって、それぞれ芽を出すタイミングが微妙に異なっているので、長く楽しめるのがいい。
一本だけコハウチワ楓という木があって、これをシンボルツリーにしているのが年々元気がなくなるのが心配ではあるが。

はや晩春の趣

芝桜芝生と陣取りゲームかな

芝桜が開き始めて駐車場脇が明るくなった。

芝桜が斜面の下へ垂れるように成長してきて、いまや逆に芝生をさかのぼって上へも伸びる勢いだ。
芝桜というのは意外に乾燥に強く、石やコンクリートブロックに接していても負けず成長する力を持っている。
芝桜が咲いて庭を賑やかにしてくれる頃となると、もう晩春だという感を強くする。

道標を追いながら

野を歩くはるかの標木瓜の花

前方にいちだんと赤が濃い低木の一段がある。

好奇心にかられてなだらかで曲がりくねった坂道をたどるとそれは木瓜の花であった。
ポツポツと咲く寒木瓜はよく見かけていたので、見事に深紅を咲かす木瓜の花とはこんな季節だったのかな?と思いながら山辺の道の次の道標を確かめるのであった。

念のため今日も予約投稿とさせてもらいました。