家事の間縫ひ自分の畑を冬耕す
野良着というのではなく、普段着である。
小さな畑に鍬をふるっている。
一家が食べるだけほどの小さな畑である。
いかにも家事の合間を縫ってちょっとした畑仕事をこなしているという風情である。
そのシルエットをしばらく見るともなく眺めたいたら、ふとこんな句が浮かんできた。
もちろん、雨の今日ではなく数日前の光景だ。
人間らしく生きるためには、どんな小さな畑も、つねに耕しておかねばならない。
カルチャーとはcultivateからきている。culturedというのは心が練れたひと、教養あるひとのこと。
義父は書をやるひとだったが、仏間に「耕心田」と自書の大きな額をかかげていたのを思い出す。
人間だけが「耕す」ことを知っているのだ。
耕しを忘れたら人間失格であろう。