足元注意

近道は閉ざされてをり犬ふぐり

いつもの散歩道が一部工事中で通行止めになっている。

ま、もともとここは何となく気が悪いような道で好きではなかったこともあり遠回りも苦にならないし、まわり道の方がかえって句材も多くありそうなのでいいのだが。

一方、河川敷ではずっと芝生部分を歩きたいのに、足を下ろす場所もないくらい、そこかしこに犬ふぐりの花が広がってきていて通せんぼをするようになった。土足厳禁だと叱られているように。
今ではほとんどが外来種でオオイヌノフグリなんだが、名前とは異なり風が強い河川敷では花自体はとても小さくて注意しないと見過ごしてしまうほどだ。

あしもとをごらんください犬ふぐり

今日は俳句会の吟行のため予約投稿です。

貸し農園

てはじめに馬鈴薯植うる貸し農園

今年は家のすぐ近くに借りた。

広さは約10坪。去年借りたのより倍くらい広いので、いろいろ植えてみることができそうだ。とくに、近くになったということは有利な点があって、毎日収獲したり芽を摘んだりとかしなければいけないもの、たとえば胡瓜や茄子なども栽培対象になる。
来週あたりジャガイモ一畝分を植えてみようと思う。

西陣の雛

嫁かぬ三十路がひとり布団雛

今日は桃の節句。

夕食は我が家では珍しく粕汁。酒をまったく受け付かない家族にとっては、奇しくも白酒、甘酒ならぬ雛祭りらしいメニューだと大笑い。
知人のお手製だという西陣の立派な布団雛をささやかに飾って夜はすぎてゆく。

はるならひ

春北風やあとを電車が渡りけり

三寒四温とはいうが、それにしてはすごく戻るものだ。

大阪では1月下旬の気温だと。当地も似たようなものだろう。
「はるきた」と読む。東では「はるならひ」。
隣の中国・四国、関東などではすでに春一番が吹いてるが当地関西は素通りで肩すかしをくらっている。そのかわりに春北風のお出ましだった。
川の近くに駅があるので近鉄・生駒線が大和川を越えるときはゆっくりと渡るのだが、今日はなおのことさっさと春北風に追い越されてしまうのだった。

季節感

壺焼や同数残るからとふた

壺焼きは春の季語。

磯の匂いが強く立ち上って春本番を告げるものに違いないが、産卵期を禁漁期間としたりすることもあって一般には7月頃解禁なので夏の季語と勘違いしやすい。たまたま歳時記を繰っていたら春の中に見つけたので認識を新たにした次第。最近は養殖ものが多くなってきたので、そういった季節感はやがて薄れていくかもしれないが、大事にしたい日本人の季節感である。

二月尽

耕しや一直線の軌跡もて

春。田や畑に鍬を入れる光景が見られるようになった。

今はトラクターを使うのが普通だろうが、人によっては均等な幅や高さの畝があるかと思えば、その反対に曲がりくねったり幅がまちまちだったり、熟度や性格にもよるのだろうが、やはり畝は一本筋が通っているのがいい。不揃いの畝からはうまい成果が得られるようにはとうてい思えない。

君の名は

萩の芽や白とこたへん人問はば

冬の間前から気になっていたのだが、ようやく分かったことがある。

河川敷には根元からすっぱり刈られた株がいくつもの塊になっており、人工的な植栽だとは分かるものの、これは一体何の草木なんだろうとかねてからの疑問があった。このたび通りかかると、ちょうどシルバー人材センターの人たちが屈むように作業しているので思い切って尋ねてみたところ答えは萩であった。せっかくの芽吹きが雑草に覆われてはいけないので、今のうちに株の周りだけ雑草を引いているのだと言う。
そう言えば去年の冬もそんな疑問を持ちながら、春になってからは散歩から自転車になってしまったので芽が伸びて成長した姿を見ていないのだった。何色の花が咲くのかは聞かなかったが、萩とくればそれは白でなくてはならないだろうと一人勝手に思うのだった。