這い寄る

裏見せの初きちかうとなりにけり

庭の桔梗が一輪咲いた。

青紫が初々しい。
一度葉っぱが全部虫に食われたが、息を吹き返したようだ。
ただ残念ながらそっぽを向いている。外側に表を見せているのでこちらからは裏見になる。
梅雨明けはまだまだという感じだが、秋の気配がしずかに這い寄ってきている。

白毫寺 その2

破れ塀をいたわるごとく萩の叢
山門を拝してよりの萩の磴
巷間のちまた一望萩の磴
相寄りて磴をせばめる萩の叢
裾触るるばかりに萩の相寄りて
登るにつけ下るにつけて萩の寺
白萩の土になれそむ零れかな
破塀をつつみかくせる萩の寺
裾濡れずしてゆきがたき萩の道
萩の蹬たどらばおのず相寄れる
萩の蹬おのずと寄れる二人かな

さすが萩の寺である。

白毫寺の破れ塀

今年は夏の気候が悪かったせいかことのほかできはよくないと受付の女性はこぼしていたが、それでも今日あたりが花盛りだというタイミングで見事なものだ。
特に山門をくぐり境内に上がる石段の両脇には、競うかに紅白の萩がこぼれていて、階段の幅は5メートルほどだろうか、その半ばを覆うようにしてしなだれているのだ。

白毫寺の石段と萩

今は萩が大人気で人の目は萩に吸い寄せられているが、花の寺といわれるだけあってほかにも秋の草花がひっそりと咲いているところもある。

きちかうも花の御寺の名に恥じず
柴垣も杉戸も鎖して秋の草
椿の実割れて落つるも残るのも
落ちるもの割れたるものも椿の実
参道は一本花の曼珠沙華

明日が句会なので今日はいっぱい作らなきゃ。萩で勝負だ。