配偶者

初燕各戸の軒場さぐるかに

家の軒場を探るような動き。

身近に今年初めて見たツバメである。
そう言えばここ数年ご近所には巣をかけないようである。引っ越してきた当初は新しい家の軒場にいくつも巣を見かけたのだが。或る年から鴉が襲うようになったのが原因と思われる。
今朝のぞきにきたツバメもおそらく巣をかけず仕舞いとなるだろうと思えば残念である。
単身で来ていたので、巣の前にまずは配偶者を見つけなければ。

材料

荒鋤の田の黒々と初燕

聞いた声がするので空を仰いだ。

やはり、燕だった。二羽。
整えられた田の上高く大きく弧を描きながら、久しぶりに戻ってきた故郷の空気を確かめるようにかすめてゆく。
ここが気に入ればあと二月もすれば二世が飛びたつことになる。
なにしろ巣をかける材料となる泥はいくらでもある。

吉報続く

内奥の空たかだかと初燕

久しぶりに大和川沿いを歩いた。

やはり歩くとはいいもので、さっそく棒に当たって、今年の初燕が空高々と円を描きながら飛んでいるのを見ることができた。河内から大和川沿いに遡上してきたのであろう。我が町はその玄関口である。ここから支流にわかれてそれぞれの故郷へ向かうのかもしれない。
大和川は古代から大陸文化到来ルートである。渡り鳥たちにとってもそのルートの一つになっているに違いない。

先週の万作、そして初雲雀に続いての吉報である。
あんなに寒かった冬なのに、この数日はまるで遅れていた分を取り戻すかのように、一気に春の気配につつまれてきたのが嬉しい。

室生の燕

大曲がりせる瀬を返し初燕

今年初めて燕を見た。

それも、山深い室生でである。
室生寺入り口にある大野寺へ、巨木の糸桜目当ての吟行である。ここも開花にはまだ数日かかりそうでがっかりだったが、それなりに遅い春の句材はあまたあった。
上流の室生寺から流れ来る宇陀川の水量は多く、その瀬の上を燕がかすめ飛んでいる。おりしも、小さな蜉蝣のような虫が飛んでいて、これらを捕食しているのではなかったか。
淵となっているところをのぞくと鯉がゆっくりと深みへ沈んでゆく。

悠然と野鯉沈める春の淵

まだ帰らない小鴨が瀬に身を委ねては下ってゆき、折り返し戻ってはまた下へ流れてゆく。採餌するにも省エネを徹底しているようだ。

巣作り

初燕去年の巣跡覗きをり

今朝外へ出ると燕の鳴き声が聞こえた。

どうやら昨年営巣した家の周りをしきりに飛んでいるようである。
去年のカップルなのか、あるいはその子供なのかは分からないが、すでにカップルで様子をみているところをみると去年と同じペアなのかもしれない。

燕の夫婦に子育てに適っていると見込まれた家は若い夫婦が住むが、玄関ドアの真上に作られた巣を最後まで大事にケアしておられた。今年もまた糞害に悩みながらも大事に見守ってくれることだろう。

今年もまた

労いの声かけまばら初燕

古墳群で知られる県立馬見丘陵公園へ行った。

4世紀から5世紀にかけての古墳が多く、地理的な位置から葛城地域の豪族の墓ではないかと思われる。
大変広大なエリアなので、一日で全てを巡ることは難しいほどだ。
今日は中央部だけを散策したにすぎないが、多くの野鳥も観察でき、おまけに初燕までも目撃することができた。
ただ風も強く時折雨がどこからか飛んでくるような天気で、人影もまばら。
長旅への労いの声をかける人も少なかったが、元気に池を飛び回っていた。
写真では点のようにしか写ってないけど。