喜雨

出穂のけふか明日か稲の妻

久しぶりにしっかりした夕立があった。

いつもなら一二度咆えるだけで終わる雷も今日は大サービスだ。
雷の放電によって大気中の窒素が地上に降ってくるそうだ。したがって雷の多い年は豊作というのはあながち迷信ではないと言える。
この雨と雷によって毎日眺めている田も明日あたりは出穂が見られるかもしれない。出穂前の大事な時期の雨と雷に農家は喜んでいるのではなかろうか。
そういう素人菜園家もこの雨は大賛成であることはちがいない。
「出穂」は通常「しゅっすい」と読むが、掲句では「でほ」として扱っています。

明かりとり

稲妻やうかがひ知れぬ虫籠窓

寺前町の今井町もそうだが、奈良町にもまだまだ古い商家が残っている。

ちゃんと保存されているときには虫籠窓が塞がれることはないが、そうではない場合は物置同然になっていたりしてせっかくの意匠ももったいないことである。
今年の大和の稲の花は遅いような気がしたが、はたして稔りは期待できようか。

扇風機不要

稲妻のかれこれ五打や寝ねにつく

朝方の大雨で目が覚めた。

感じとしては、雨量50ミリ以上か。
かれこれ1時間あまり続いたようだが、終いには直近に雷が落ちたようで、凄まじい音と光が同時に頭の上を襲った。しばらくひそんでいると、雷はすぐに遠ざかったようで、再び寝についた。
その間カーテンを開けてあれこれしていると、雨や雷よりも落ち着かない夫にクレームをつけて家人はすましたもの。

前線が通ったもようで、今朝は非常に涼しく、扇風機が寒くすら感じるほどだ、

雨雲レーダーアプリ

稲妻に近づきつある家路かな

このところ三日連続で夕立がある。

最初に夕立があった日に、雨雲が近づくと警告を発してくれるアプリがあるとのことで、yahoo無料アプリをインストールしたらその後二日連続で予測は見事に当たった。
昨日も、夕方に外出の予定があって、いつもなら二階の窓は熱を逃がすためいくぶん開けておくのだが、雨雲レーダーではしばらくすると雨だというので、しっかり戸締まりして出かけた。案の定用事が済んで帰路についたら、前方の生駒、平群の方面でしきりに稲妻が走っている。信貴山辺りは雲もなさそうなので、この分では家の辺りは大丈夫かと思っていたのだが、何と家に100メートルもない処まできたら大粒の雨がウィンドウを叩くではないか。
車を駐車場に入れて駆け込むようにして家に飛び込んだが、またたく間にしっかり濡れてしまった。
インストールしたアプリはなかなか優れもののようだ。

三重高校惜しかった

稲妻の峡の出口をふたぎけり

昨日など珍しく遠雷があった。

大和盆地から大阪へぬける狭隘部の空が時に明るく、その後しばらく時間がたってからドドドという響きだけが伝わってくる。
これが山峡の集落なら、しばらくは峡から抜け出すのをためらうかもしれないと連想してみたが。

甲子園で故郷の三重高校が惜敗した。想像以上の健闘を讃えたい。
甲子園に行く予定が天気が悪そうなので取りやめ、かわりに涼しいうちに軽く洗車のつもりが、どんどん天気がよくなってきて暑さでばててしまった。

夕焼けが終わった後で

遠雲に稲妻走り夕映ゆる

遠雲を紅く染めた夕焼けショーが終わると、今度はその雲の中でくぐもるように稲妻が何度も走り、雲全体をさながら提灯のように明るく浮かび上がらせる。

夕陽が背の信貴山に遮られるので地上はすでにほの暗くなっているが、空はまだ明るくそのコントラストがはっきりと分かる時間帯だ。
明るい空は高くて澄んでいるが、この時間になって上空では積乱雲が湧いているらしい。
こちらへやってくるかなと暫く見ておったが、多武峰方面にとどまったままだった。