慌ただしく

自分だけの標準木に花みつけ

ひそかに自分の桜と決めている木がある。

今日そのマイ標準木が開いたのを確認した。
大阪は開花宣言したらしいが奈良はまだ、明日も無理だろうと言うが、同じ奈良でも環境が違えばこうもちがうものか。

東京では今日一気に満開宣言という報に驚くが、こんな暖かい日が続けば当地もすぐに満開を迎え、短い桜となるかもしれない。
何との慌ただしいことである。

溶け込む

峠まで花の名残を惜しみけり

里の桜はおおかたは終わった。

というので、少し高いところに登ればまだ花が残っているかもしれないと、大阪方面に出かけた帰りは竹内峠を越えることにした。狙いはずばり当たり、峠近くの桜は満開が過ぎたとは言えまだまだ楽しめる状況。こういうのを残花と言うのかどうか知らないが、名残の桜もなかなかいいものである。
山全体を見てみれば、終わりを迎えた山桜が今しも新緑の山肌に溶け込んでいくばかりで、やがてそこに桜の木があるとは誰も分からなくなるにちがいない。

ボツ

異国語の混じりさざめく花堤

今月のまほろば句会は散々な結果。

主宰選の結果が届いたがすべての句がボツ。こういうときはめげるんだよね。
ま、終わったものはしょうがないから顔を上げて出直しだ。

家から見える光景

遠桜日ごとに山の満ち足らふ
たけなはの花の端山を司り

2階の窓は遠くの桜がよく見通せる。

近くでは八幡さんの森に混じって、遠くでは大和川対岸の丘の上一面に。どれもが昨日あたりが満開になったようで、それまでの数日間薄桃色の花が日に日に嵩を増してゆくのが手に取るように分かるのだ。普段はそこに桜の木があることなどまったく気にもかからないが、この時期だけは別物のように心を捉えて放さないのである。

夕べの強い雨、そして今日の強風があだとなり多くを散らしてゆくのだろう、今日はいくぶんやせ細ってきたようにも見える。まもなく花が終わり代わって新緑が目を射るようになる。

ぞめく

花をもて農のはじめとなす土地の

一本桜というのは全国に意外に多いものらしい。

三春の「滝桜」はあまりにも有名。ほかに飛騨の「薄墨桜」、盛岡の「石割り桜」、当地では宇陀の「又兵衛桜」がある。
テレビで知ったのだが、佐渡島だったか「種まき桜」という木があって、この花が咲くと種籾を蒔くのが慣わしだという。南から北まで、いろんな人たちの、僅か1週間足らずの命の桜にいろんな思いを抱いてざわめかしてゆく。

玉の露

花咲かす雨の止みたるしずくかな

雨がやんだので図書館前の桜を覗いてみた。

色の濃い紅枝垂れが一分咲きほどに開いている。よくみると降り残した雨滴が光っている蕾もある。温かい雨だったので明日は一気に開くかもしれない。

月峰山遍照院

五分と咲く花の主の不在かな

家の近くに町の指定文化財となっている桜の木がある。

月峰山遍照院の枝垂れ桜

月峰山遍照院の樹齢250年の立派な枝垂れ桜である。谷戸の斜面にあるので下の方から仰ぎ見るような格好だが五分咲きとはいえなかなか姿がよろしい。
既に先客がいて三脚を据えて撮影に余年がない。聞けば鎌倉から休暇をとって京都・奈良の桜撮影に来られているのだという。ところが折角訪ねてこられたのにお寺の門が閉まっていて、戸惑っておられる。そのうち近所の方が来られて、何かと調べてくれたがやはりどなたも見られず不在と分かったが、花見時の入山料のかわりにお賽銭入れておけばいいんではないかということで失礼ながら裏木戸をくぐらせてもらった。