窓からみえる

十グラム余の鳥ひそむ若楓
おおげさに弟泣いてこどもの日

お隣の山桜桃にさかんに鳥が来る。

オーナーが昨日きてパックに詰めて持ち帰ってもまだありあまるとみえて、ヒヨドリが、ムクドリが、スズメが取っ替え引っ替え啄んでゆくのだ。
ひょろひょろ伸びたわが家の楓も今は目の覚めるような黄緑に伸びて、鳥が止まるたびに枝ごとおおいにしなる。
賑やかな鳥たちの騒ぎをよそに、八歳となるみぃーちゃんは我関せずとばかり昼寝を楽しんでいる。
ステイホームの窓から生きものたちの元気をもらう日が続く。

村おこし

村おこしせんと廃校若楓

宇田水分神社そばの小学校跡地が、世界の楓を集めた楓園としてスタートしたのが昨年。

いつもの句会の今月はその楓園を訪ねる吟行となった。天気も最高でちょっとした行楽気分にもなる。
行ってみて分かったことだが、楓の種類の多さはもちろん、その若葉の色や形の何とバライエティに富んでいることか。ちょうど花の時期でもあるので、それぞれの花が確認できたが、これも色や形が千差万別なのである。

とりわけ、春の楓は秋の楓より色が多彩で、もしかしたら秋よりも楽しめるのではないかとさえ思えるのだった。

休み処

若楓枝に吊りたるお品書

春日荷茶屋にて
万葉集植物園まえに春日荷茶屋(かすがにないぢゃや)があり、今の時期若葉の下で休憩するにはもってこいの場所にある。

参道を行く人の目にはいやでも止まるお品書。それが新緑の楓の太枝に吊されて枝葉の影までもが緑色に映えているのが面白い。

新緑の法隆寺

若かえで飛鳥古仏のほそおもて

今、法隆寺は楓もみじの若葉がまぶしい。

若葉の法隆寺

平日のせいか一般客は多くないが、そのかわり修学旅行シーズンとあって境内の何処もが大渋滞。外からしか拝めない金堂や五重塔などは内部の仏さまをじっくり見ることができないのが残念といえば残念である。
ただ、日本で最初に認定された世界遺産であり、至宝の宝庫でもあるので、若い人たちはじめ出来るだけ多くの人に見てもらうためにはやむを得ないのかもしれない。
一方、教科書でよく出てくる「百済観音像」(飛鳥時代)、「玉虫厨子」(飛鳥時代)、「夢違観音像」(白鴎時代)などの宝物類は平成10年に落成した大宝蔵院に多数安置されていて、ガラス越しとはいえ間近で見られるのはありがたい。
百済観音さんのすらりとした長身を横から眺めると全身をゆるやかにして立っておられるのがよく分かるし、この時代の特徴である細面は正面と横からみるのでは表情が微妙に異なって見えたのが印象深かった。

さらに今日のボーナスは、ちょうど今の時期だけ公開されている夢殿内の厨子に安置されている「救世観音像」(飛鳥時代)である。太子等身の秘仏とされ、開かれた厨子の中に佇んでおられるのを中学生と一緒に拝見することができた。

目に染みる

しなやかに風にしたがふ若楓

楓の新芽はしなやかである。

か細い枝に透けるような葉がびっしりついていて、風が吹くたびに大きく揺れる。
一見頼りなさげに見えて、実は強靱な木なのである。