草刈るや厩転じて機部屋に
古民家巡りをしてみた。
もちろん、もう今では誰も住まない文化財となっているのだが、どれも地域独特の工夫がこらされた建物で、間取り、壁、屋根、どれをとっても昔の暮らしを彷彿とさせる。
江戸から明治へと文明開化の波が地方にも押し寄せてくるとともに、暮らしぶりにも変化があらわれ、さまざまな改造も行われたようである。
農事の大事な伴侶を家の中に飼うという、まるで遠野物語に出てくるような暮らしぶりも垣間見たが、これとて明治になってからは機織りの部屋と化していた。
農業中心から、絹などを織る副業も盛んに行われたのであろう。
畦の草刈も、今ではエンジンをうならせて粉々に刈りとってしまう。かつて牛馬に与えていた草、今はいったいどこへ消えるのであろうか。