冬一色

縄尺を伸べて球根植ゑゆけり
球根植う等間隔の定規もて
球根を植ゑて鳥との知恵比べ

春はチューリップ園となるエリアに、昨暮れから球根を植える作業が続いている。

すでに植え終わった部分と思われる区画には、テグスが張られていてこれは鳥除けだろう。
見ていると、ロープに等間隔に印がついていて、それを定規として植えているようである。
しかも、畝ごとに球根の種類も違うようである。おそらく開花したときの見栄えを考えて、色や形のバリエイションをつけているのであろう。
作業しているひとに聞けば、今月まだしばらく作業が続くという。
冬一色の公園の今は、唯一臘梅が色を添えているだけである。

胸張って

満天星の紅葉見に来よ小海線

ドウダンツツジが秋真っ盛り。

今年は殊の外赤が濃い。
何年か前に清里の駅前の植え込みにあったのを見たときはたじろぐほどすさまじい深紅だったが、規模で比較にならないわが家でも胸を張るかのようである。
三本あるうちで、直射日光がいくぶん少なめな場所にあるのが一番滑らかな紅葉具合。やはり、適度な湿度があるほうがいいとみえる。

厚切りトースト

トーストの焦げ目しつかり柚子のジャム
種残る柚子のジャムとはなりにけり

いろいろな大きさの柚子をもらう。

早速ジャムに煮てもらう。
ときどき種も混じるときがあるが、やや酸味のきいたジャムはあっさりしていてホカホカの厚切りトーストにぴったりだ。それもしっかり焦げ目のついたトーストがいい。

サイン

ぶらぶらと食べ頃サイン吊し柿

3週間以上は経過した。

そろそろ取り込んでいい頃だ。
百匁柿というだけあって皮をむいてもずしりと重量感のあったのが、水分がずいぶん抜けて今では体積でいうと四分の一くらいに縮み、今日の小春のわずかな風にも揺れるくらいだ。
まさに、天日干し完了のサインだろう。

纒向散策

樫の実のみどりのぞかす垣根かな

ふだんは乗降客も少ない巻向駅に、車両から人がどっと吐き出された。

纒向遺跡第193回調査現地説明会が目当てだ。
卑弥呼の祭祀跡かもという巨大建物が発見された場所から百メートル足らずの場所に、3世紀ころと思われる墳墓多数が発掘されたのだ。
纒向遺跡が国の史跡に指定され、元纒向小学校跡地にガイダンス施設を建設するにあたっての発掘だということだった。周りにはまだ何もない場所にすでに公衆トイレは完成していて、さっそくお世話にもなった。

帰途立ち寄った店の駐車場には、青々とした団栗をつけた生け垣があった。
アラカシなのかシラカシなのか。
今では珍しい樫の生垣だった。
北風が冷たかったが、蜜柑がたわわに実った畑があったり、秋の気配もまだまだ残している。

落葉踏む

朴落葉うちかさなりて風もなし
鞄には収まりかねて朴落葉

長さが30センチもあろうか。

朴の葉の広いこと。
少々の風くらいでは飛ぶこともないのだろうか、白灰がかった茶褐色の裏を見せて巻くように重なっている。
試しに拾い上げてみたら、ショルダーのバッグより大きかった。

主役交代時期

ノルディックウオークの杖に秋惜しむ

明日の立冬の前に、今日はまるで小春日。

風もないし、少し歩けば汗ばむほどの陽気。
鵙の猛り、朴落葉、木守柿があるかと思えば、はやくも笹鳴きも聞かれ、秋と冬の主役交替時期でもあった。
こちらは、句帖片手に句材を探して右へ左へ視線を漂わせ、歩幅も小さくスピードも上がらない横をさっさと追い越してゆく人たち。
いま流行りのノルディックウオーキングというやつだ。
杖が使える場所も限られて、まだ完全に市民權を得たとは言えないはずだが、街中にもどんどん浸食しているようだ。
公園にはお年寄りや小さな子供、赤ちゃん連れのママもいるので、事故がないよう安全に願いたいところである。