超新星爆発

春寒しペテリギウスはいつ消える

オリオンの右肩の星ペテリギウスが終末期を迎えているという。

不安定であるために今はやや暗くなっているというので空を仰ぎ見る。
言われてみれば昔ほど四つ星がきらめかない気がするが。
核融合ができなくなってくると、やがて超新星爆発がおきて消滅するらしい。そうなると600光年と意外に近いため月の何倍も明るく、それが数ヶ月続くという。
四角形の中の三つ星というのがオリオン座の特徴で冬の代表的な星座だが、これが右肩の星が消えてしまうと見慣れた冬の夜空もずいぶん違った印象になるのだろうなあと思いながら寒空に思いをいたすのである。

大過なく

水棄てて薄氷だけの器かな

矢羽根のようにも見え、針のようにも見える氷が張っている。

外に置いた器はみぃーちゃんの飲み水を容れるものである。手に持ってゆすればさらさら動くようである。こういう場合は零下一二度の朝であるが、水を棄てても器にしっかり残っているときは零下四五度の日である。
明日からは寒の戻りもゆるむと言うから、それはそれで結構なことだが、天気はぐずつくそうでこれはこれでまた気が重い。
とまれ、天気に愚痴を聞かせているうちは大過なく生きている証拠と思って体を慣らしていくほかない。

春発進

プラ鉢の韮の新芽に風固く

プラ鉢に株分けしたのが冬を無事越したようだ。

1センチにも満たない新しい芽が顔を出してきた。
暮れ頃になって葉をすべて枯らしてしまったので、さすがに霜除けもなにもないプランターでは駄目だったかとあきらめていたのだが、あらためて韮の生命力を知ることになった。
庭を見ると捨て鉢の古い土にも芽吹くものもあり、寒の戻りだとこぼしていても春の命は確実に育っている。
そう言えばどこかではもうイヌフグリが咲いているのも見た。
このように桜の季節まで、今年は春の訪れを何回楽しませてくれるだろうか。

歌垣

駐車場満車と灯る余寒かな

昨日ほどではないが今日も寒かった。

寒くて曇りだから、今日も花の色はさえない。
だが、樹形の素晴らしい梅に出会えることができて、しげしげと枝の仕立て方などを勉強させてもらった。

万葉文化館の梅

場所は万葉文化館の庭。今日は歌垣がテーマのトークセッション。万葉歌のルーツの一端を知るいい機会となった。

弱日

蕗の薹探す視線のたもとほり

蕗の薹を見つけたというローカルニュースがあった。

今日はいつものコースを逸れて田んぼの畔にまで進出。もちろん蕗の薹が目的だが、残念ながら見つけられず。
ここは雉も出てくるフィールドで蕗の薹がなくても雉に会えるかもという淡い期待もあったのだが。
一日中肌寒い天気で晴れとまではいかない弱い冬日では、メジロなど鳥の色の識別も難儀して探鳥の楽しみもいまひとつ。
この寒波は一両日中に去るということだが、暖冬に慣れた身にはこの二三日相当こたえる寒さだ。

それぞれの戦い

救急車影甲斐甲斐し冴返る

家の前を日に何度か救急車が通る。

救急車の登っていく先にはおおきなホームがあって、今またそこへ向かっているのではないだろうかと思うことしばしばである。
昨日今日と寒が戻ってくると高齢者には応えることだろう。
患者を救急病院へ送る車両のなかで、ケアしている黒い影が車の磨り硝子越しに見えた。
救急患者、救急隊員それぞれの戦いが車両の中で続いているのだ。

景気変動か

鹿煎餅売場閑散凍返る

煎餅売りスタンドに鹿が群れている。

売り子も手持ちぶさた風でやることもないままスタンドの商品を並べ替えたり、目に見えて客が減っているのが分かる。
とくに目抜き通りを離れたスタンドは全く客が来ない。
ホテルのキャンセルも相当数に昇ると聞いているが、知事には風評被害を少しでも解消するという姿勢が見られず、「観光産業に付き物の景気変動に過ぎない」と言い放った。
観光産業に従事する者としてはやりきれない思いだろうが、公のイベント頼みという姿勢が目立つ県内観光産業としては声を大にして非難もできないでいるようだ。
昨日立春だったというのに、今日からこの冬最強の寒波が到来とあって、奈良公園界隈はまさに凍返り状態である。