鳰の川

逆波も倦まず狩りするかいつぶり

当地の今日は西風。王寺の町を大きく迂回する大和川に逆白波がたっている。

ヒドリガモの群れがいっせいに飛び立って下流側に向かうが、風に煽られて隊形がまるで下手なゴルファーのスライスのようにすぐに乱されてしまい、しまいには大きく弧を描いて戻されてしまったり。
そんな光景を何度か目にしたが、一方の水面では今日もいる、いる。
カイツブリ君あるいは嬢がただひたすら潜っては顔を出し、潜っては顔を出しを繰り返している。
行きがけもそうだったが、帰りがけにも同じような場所でひたすら同じ所作を繰り返しているので、最低でも2時間はそうしていたことになる。よほど餌にヒットする確率が悪いのだろう。

ここ数日は幾分気温が高めなせいで耳がちぎれるような痛さはない。
今晩から冷えこんでしばらくの間は寒い日が続くそうだが、年間の寒さのピークであっても春がどこかで動き始めているのが予感できる。

冬の川筋で

羚羊の双眸止まる出会ひかな

雪の露天風呂が恋しい季節だ。

随分昔に長野の地獄谷温泉に向かうときのこと。クルマを止めて川筋を歩いていたら、林の中に気配を感じて振り返ると羚羊が斜面からこちらをうかがっている。
随分人里近くまで降りてくるところをみると、山に餌が不足していたのだろうか。
警戒する目だが、とても愛くるしい目をしていたように覚えている。

インフル

感冒のウィルス見えねど待合室

定期健診のため町の医院に行ったのはいいけど、待合室が大混雑。

そのうち、ひどい咳をする今にも倒れ込みそうな若者が入ってきた。
すぐに処置室に入れられたがドアが開いたまま。
マスクしてくればよかった。

頭上高く

白き実や冬ざれの街点すごと

どうやら東大寺近辺は南京ハゼが多いようである。
南京ハゼは紅葉が見事らしいが、1月ともなるとたわわに実った白い実だけが残る。

たしか県庁裏だったように思うが、背の高い街路樹に直径1~2センチほどの白い実がいっぱい成っていた。
調べてみると”南京ハゼ”の実らしい。
ろうが採れるというから、これらがいっせいに歩道にこぼれたらどうなるんだろうと想像してしまう。

空いた手

寒の雨膝に猫抱くマウスかな

朝から雨。
雪でないだけましだが、外出がおっくうでついクルマに頼ってしまう。

猫どもも寒いせいか膝の上に来たがるので、机に向かっても片手でしか操作できない。

寒中お見舞い申し上げます

寒見舞転居せしこと書き添えて

年賀状の発送ミスで何人かの方に出し漏れがあった。
本来はすぐに賀状御礼を出すべきところだが、寒中見舞いの形で返礼することにした。
暮れに喪中葉書をいただいた方にも新住所を案内しなければならないな。

パノラマを楽しむ

降り積もるほどなく雪の飛鳥かな

起きてみると快晴、ただ朝方雨が降ったらしく道路が濡れていた。
気象情報を確かめるとどうやら穏やか日和らしい。王寺の工場煙突の煙もまっすぐ上っている。
絶好の自転車日和である。

今日の目的地は明日香村。帰路を考えると現地で2時間ほどしかとれないので、甘樫丘、飛鳥京跡苑池、犬養万葉記念館だけと決めた。
たとえフルの1日があっても飛鳥の主要なポイントを全部見て回るのは到底不可能だ。
あの狭いエリアなのにである。
おそらく今年は何回も行くだろうけど、それでも周りきれないだろう。

甘樫丘から畝傍、遠くに二上山が望める。

橿原から飛鳥にかけては雪だったらしい。木立に残る雪をみながら甘樫丘を上ったが、展望台からの眺めはパノラマ。飛鳥や藤原京はもちろん大和三山はじめ金剛山系、生駒山系などの見通しがきく。天気もよいのでとても爽快である。
飛鳥は朝に降った雪がほとんど溶けていたが、後方の多武峰はうっすら雪化粧である。

飛鳥京跡苑地の一部。現在は埋め戻されている。左端は飛鳥川に接しており、一定水位を超えると川に放流されるようになっているという。高度な土木技術で、新羅系渡来人のものではないかと言われている。奥は甘樫丘。

10年ほど前の発掘調査で大規模の苑地が発見された。飛鳥京跡苑地と名付けられている。NHKで特集を見たことがあったので何をおいても見たかったのだが。
大津皇子の文字がある木簡が発見されたことから天武期のもので、伝飛鳥板蓋宮跡というのは実は長い間謎であった飛鳥浄御原跡であることが確実となったらしい。
追補)県では平成28年度を目処に整備公開するプランがあるようだが実現すれば、明日香の地理的理解がいっそう分かりやすくなるだろう。