半年の穢れ

増水の渦に形代ねぢれゆく
水嵩のふえて形代ねぢれゆく

今日は夏越しの祓。

春日大社の摂社では春日山からの流れが細くていつもは形代がとどまっていることが多いのだが、雨がこれだけふればかなり流されることだろう。
この日、形代に体を触れさせて半年の穢れを移しふっと息を吹きかけて川に流すのだが、大きな神社では萱の舟などにまとめて禰宜が流してくれる。
たいていは真似事みたいな形で終わるのだが、水が豊富な上賀茂神社にかぎっては本格的な流しとなる。

猫受難

同じ頁繰って戻され冷房車

昨日からとうとう冷房の出番だ。

昼間は扇風機で十分しのげるのだが、夕飯の用意するころになるとその熱が居間全体にまでこもってしまう。
逆に、外はいくぶん涼しくなりかけていて、そのギャップをやたら感じてしまうともういけない。
数時間の冷房だが、それさえ嫌う猫どもはもっとも冷気のこないところに避難してしまう。
猫たちにとっては受難の季節だ。

日焼の子

半年の垢掻いだしてプール干す

梅雨入りを前に町営プールが磨かれた。

すでに一か月近く干してあったのは日光による消毒か。
ひび割れを防ぐ目的だったと思うが、昨年の九月から満水状態だったのを来月上旬に向けてプール干ししたのだ。
小さな町のプールだから子供対象のプールだが、いよいよ暑くなるとそばを通るたび水浴びしたくなる。
プールには日焼けした親子がよく似合う。

荒れ模様

梅雨入の大阪停まるG20
梅雨入の遅れてけふの荒れもよひ
スリッパを床に取らるる梅雨湿り

やっと梅雨入り宣言したかと思えば、台風に発達するかもだなんて。

やれやれ、大変な梅雨デビューである。
おまけにニュースを見ると、高速道路もがらんがらんに大阪の都市機能はまるで停止したかのような様子。年の前半締めを前に商都大阪も迷惑な話であろう。
これで、世界経済や環境問題などに進展があればいいのだが、わがままなパワー大国次第というのでは心もとない。

自然のリズム

電線に数を増しゆく帰燕かな

びっくりした。

一陣といっていいくらい早い帰燕である。
明日からいよいよ本格的な梅雨入りするというその日の昼、突然数羽が隣の更地の上を旋回はじめたのだ。数にして10羽くらいだろうか。二三年前にも、その時は早朝だったが、やはり十数羽の燕が電線に群れてせわしく旋回していたのを目撃したことがある。
翌日には街からすっかり姿を消して、あれが帰燕グループの集合だったのだと知る。
そして、塒入りで有名な平城京にでも向かうのだろうか。
なにせピーク時には数万羽が集まっては、次から次へ南へ帰って行くというから。
今回も明日からは姿を消してしまうことだろう。それが合っていれば帰燕第一号ということになる。夏はまだ中盤というところで、「帰燕」はもちろん秋の季題だが、自然のリズムというものはそういうものなのだ。

悪循環

愛称で呼びあふ夢に明易し

昼間の活動が足りてないせいか何度も目覚める。

その直前は何か脈絡のない内容だったり、懐かしい友の夢を見たりする。
いったんこの悪循環にはまるとなかなか抜け出せないものだ。
当たり前だが運動したり散歩したりしなくちゃと思うが、暑さというか、日射の強さに腰砕けになってしまうのである。

歯がゆい蝶

迷い來し蝶放さざる日除かな

ひたすら明るい方、上を求めて。

蝶が日覆いのかかったラン棚に紛れ込むと彼らは脱出の術を知らない。
日覆いの下部や北側ががらんがらんに開いているのに、そちらから脱出することが選択肢にないのだ。
いたずらに上の明るい方へ向かって脱出口を探すばかりなのである。
気がつかずにいると翌日も上の隅に翅をたたんだまま身じろぎもしないでいることがある。
仕方がないのでその都度日覆いを外しては逃がしてやるのだが、見ていて歯がゆいほどだ。
紋白蝶や黄蝶など小さい蝶はこんなことはなく、ほとんどが揚羽や黒揚羽である。両者の行動パターンには大きな差があるように思える。