家を守る

嚔してにはか鰥夫のおさんどん

今日で七日目。

三度三度飯を作り、掃除に洗濯、そして猫どもの三度の飯の世話もする。
洗濯物取り込みを忘れて夜露に濡らしてしまったり、一回だけ買い物ついでにラーメン屋に立ち寄ったが、我ながらがんばっている。
急に冷え込んできたせいか、二日目辺りで水洟がやたらでて鼻が痛くなったもののようやく治まってきたか。
明日は、ちょっと足りないものの買い物もしなければならない。
要領が悪いせいか、なかなかゆっくり散歩するということもままならないものだ。

ホームセンター

自動ドア開くたび寒きレジ当番

古いホームセンター。

所狭しと商品が並んで、レジが片身狭そうに入り口に並んでいる。
レジの列に並んでいると、客が出入りするたびに北風が侵入してきてその寒いことったら。
レジ担当の足もとには電気ヒーターが置いてあるが、どの程度役に立つかは分からない。
従業員教育ふくめてほかにも管理が行きとどいているとは思えない点が目立つ店だが、それでも上場会社の店である。いつまで存続することやら、と他人事ならず心配している。

法隆寺西円堂へ

斑鳩の堂宇みな寂び金鈴子

今日も寒かった。

斑鳩はときおり修学旅行生もくるが観光客はまばらである。
西の端っこの西円堂はもっと閑散としている。

法隆寺の東院西院を巡って裏手に回ると、法輪寺前には大きな栴檀の木。葉っぱもみな落ちて、栴檀の金色の実が鈴生りで、斑鳩の錆色とは好対照。
俳句も今日はちょっとさぶい。

立入禁止

周濠の涸れてとりつくしまあらは

埋められてしまったものがあれば、干上がって蔓が生い茂るものもあったり。

昨日は道路に割かれた帆立型古墳。
今日は、その帆立型がはっきりとわかるほどよく保存された別の古墳である。
知られた古墳というのは、一般に周濠により隔てられてはいるが、なかには陸続きになっている部分が残っているものもある。
祭祀の場所などがそうだが、それすらも立ち入りが禁じられているのが普通である。
ここも宮内庁管轄でもなく、立ち入ってもよさそうだが、危険なところでもあるのか全面立入禁止のようである。

精気なし

盗掘の尽くされ墳墓冬ざるる
円墳の道路に割かれ冬ざるる

数日見ないうちにいつもの散歩道もすっかり冬になった。

残った紅葉も精気はもはやなく、冬紅葉という名にふさわしい。そして、散りしいた紅葉葉とあいまって一体がうすぼんやりと紅葉明かりに包まれているようでもある。
こうしてさらに歩を進めると、盗掘されて土器くらいしか発見できなかった古墳や、後円墳の部分がぽっかり削られて片道二車線の立派な道路に変わり果てているさまに、どことなくそぞろ寒いものを感じるのだった。

冬本番

木枯の集めしものをかい掘りぬ

初めての木枯らしらしい風が吹いた。

今年は見事な紅葉を見せたブルーベリーやドウダンツツジの、最後まで踏ん張っていた葉も一日にして吹き飛ばされたようだ。
夜になってさらに激しくなってきたようで、換気扇のあるあたりがぼうぼうと音をたてている。
木枯らしとは初冬に吹くものとされるし、木の葉もおおかた飛ばされては、最初にして最後の木枯らしとなろうか。
しばらくは厳しい冷え込みが続くと言うから、いよいよ冬本番とみていいだろう。

クラクラと

室咲いて蘭の香強くなるばかり

蘭がつぎつぎに開いてきた。

ひとつだけでも十分に匂ひが強いのに、今では部屋中にたちこめて頭が痛くなるくらいだ。
まるで、百貨店の一階に迷い込んで、各社の化粧品のミックスされた匂ひに閉口している状態と同じである。
蘭の花の期間は長いので、もしかすると年を越してもまだ咲き続けるかもしれず、ちょっとクラクラとする気分である。