南岸低気圧

音たててスープをすする寒さかな

半日雪だった。

気温も上がらない。2度。
朝も昼もほとんど差がない寒さである。
ただ雪と言っても南岸低気圧特有のいかにも重そうな牡丹雪で、アスファルトの上に落ちたらたちまちかき消えてしまう類いである。
今夜からまた降るそうだが、これは大陸から吹きさらしてくる風によるものだから積もるかもしれない。
明日は朝早くから外出の予定があるので気がかりでならない。

ひきもきらず

風ぬける待合室の寒さかな

3回目の接種を受けてきた。

地方では中規模程度のクリニックで、待合室にはもう昼に近いというのに20人弱ほどの人が座っていた。
そのうちの半数ほどがコロナワクチン接種のためにきている人たちらしい。
受付を終えて待合室の全体を見渡し、通風が一番よさそうな窓側を選んで待つことにした。窓が少し開いているので風通しはいいが、やはりちょっと寒い。
順番が来てすぐに注射となったが、針を刺すときちくっとするだけであっけなく終了した。15分の待機を終了して外へ出ると駐車場で引きもきりなしにPCR検査をしているようだった。用心のため検査に来ている人たちだろうが、やはり相当程度蔓延していると思った方がいいと思った。
なにしろ人口一万の町で毎日10人前後の感染者が出ているのだ。

保証

地震一報伝へるラジオ寒い朝

今日は神戸震災から27年目。

5000人以上もの貴重な命が奪われた。あの日は車通勤していてラジオから何か大変なことが関西で起きたらしいことを知ったが、詳細はなお数時間も伝わらなかった。だんだんと情報が入ってくるうち、これは容易ならざる事態だと知ったのだが、とりわけ地震後の火事の映像には声もなかった。
阪神淡路大震災といい東日本大震災といい、ふたつとも冬に起きた。電気も水道もガスもなく、トイレも無論風呂もない日が何日と続く日々の不安は恐怖に近いものがあろう。
昨日は夜中にスマホが災害警報何度も鳴ってはその都度起こされた。トンガ近海の噴火がよもやの津波となって日本にも届いたのだが、地球は生きている、昨日と同じ保証はどこにもないことをあらためて感じるのである。

震度1

ひとりとして寒いと言はぬひとのなし

暖かな冬に馴れていたせいか、年末の冷えが思ったよりきつい。

通常は床暖房だけで済ます朝も、この二、三日はエアコン暖房も動員して体に檄を飛ばしているありさまである。
街で人に会えば必ず最初の一言が「冷えますね」「寒いですね」である。
畑で体を動かしている分にはその寒さもやがて忘れて体もほぐれてくるが、家に帰って水分補給にと蜜柑を食えばふたたび体が冷えてくる。
猫どもは床暖房利用の炬燵にもぐったまま、夕食まではおとなしい。そんな日がつづいている。
ところで、今朝めずらしく奈良を震源とする小さな地震があった。震度1にしてはガタッとショックを体感したが、さては列島のあちこちにひずみがたまってきて、どこに大きな地震があるかも分からない、そんな時代に入ってきたことを自覚せざるを得ない朝だった。

整形外科

肩凝りの腕の上がらぬ寒さかな

寒さが身にしむようになるとあちこちに痛みが走る。

とくに寒さでこわばった肩のこりがひどくて腕にまでしびれのような痛みが走る。
この腕のしびれというのは今年の初め頃からで、五十肩ならぬ七十肩の腕版みたいなものかもしれないがどうせ整形外科に行っても変わりはなさそうと放置したままである。
だいいち、この時期クリニックに行くのも恐いしね。

寝ぼけ眼

流星群見たし真夜の立ちんぼ寒し

明日未明が一分に一回くらい期待できる流星が降るという。

一度はみてみたいと思うものの、午前三時頃だと聞くと尻込みしてしまう。
遅くとも11時には就寝する癖のついた身には睡眠を中断してまで見たいとは思わないし、夏や秋ならばまだしも冬の未明となればたとえ一分でも立ちつくして空を仰ごうなんて気は起きないのである。
そう考えれば、夜の天気だって保証はないし、寝ぼけ眼でとらえられないこともあるわけで、ニュースを聞いて思いをはせるだけで十分ではないかと思えるのである。

どこにも行かない

通天閣赤く灯して夜寒し

これから15日間不要不急の外出自粛しろと言う。

いわゆる医療逼迫が近づいていて「医療非常宣言」だそうである。
医療逼迫と言うことは医療関係者にダメージが大きく、ほんとにそれだけで収まるのだろうかという懸念が拭い去れない。
移動そのものに危険はないが、移動先での人との接触を極力避けろとも。
本当だろうか。移動には公共交通の利用が必要だが、密室となる車両にいるだけでも危険に晒されるのではないのか。
われわれ高齢者かつ基礎疾患を持つ身にとってはとにかく人のいるところには行かないのがよさそうである。
これまで半年近く家にこもっているが、これから先もさらに身を慎んでこもるにしくはない。