裏年だが

臍のある旋毛のあるも柿若葉
下されし雨を諾ひ柿若葉
柿若葉触れて産毛のらしきもの

柿の葉がずいぶん大きくなってきた。

気がつけばいつの間にか花が実になっている。
昨年はずいぶんたくさん採れて、今年は順番で行けば裏作となるはずなのに、剪定がうまくいったのかそれなりの数を見せている。あとひと月もすれば葉も大人のそれになるんだろうが、色も若いし触ればやわらかい。
その葉をそっと撫でてみると何だか産毛があるような気がしたが。

卵焼きできそう

鮎刺の砂利に紛れる卵かな

いわゆるコアジサシである。

川や海の近くで子育てをする。
ある年、海の埋め立て工事が完了し、あとは造成地に砂利を載せ地盤を落ち着かせるばかりとなっていたら、野鳥の会から緊急要請があり、子育てが終わるまで工事を控えてほしいと。
もともと豊かな漁場を埋め立てたものだから、コアジサシの好物の小魚も簡単に手に入れる造成地は格好の営巣地だったのだろう。ただ、驚いたことに、現場の飛び立った跡に目をこらすと砂利そっくりの卵があるではないか。巣というものはなく、砂利に直接生んだものだから、親鳥が飛び立てば灼熱の太陽に焼かれる格好になり、そのまま卵焼きができてしまうのではないかと心配するくらいだ。
子育てが終って南に帰れば工事再開だが、巣立った子たちが翌年再び戻ってきても故郷はもうない。

高齢者肉を焼く

緑陰に肉焼くタオル被りかな

昨日は炎天下でBBQの焼き肉担当。

朝早くから準備に追われ、開店は11時。ピークの12時にはコンロの前に長い行列ができて、手渡すにも客の顔も見られないほどバタバタした。
緑陰と言っても、町内の公園だからわずかの木しかなく、げんにコンロの部分はお日様ピカピカ状態。日除けは帽子代わりのバンダナ巻だ。
約二時間の重労働を終えたら、今度は片付け。終わって反省会という名のお決まりの懇親会。
ひたすら体を動かした一日だった。

海老鯛

沖釣りのなぜか外道の鯖ばかり

鯛を狙って出船したのに。

本命はさっぱりで、高価な餌は鯖やフグに食われるばかり。こういうのをこの世界では「外道」という。
お土産にはなるが、この時期は寄生虫が怖いので生では食えない。いきおい、熱を通すしかないが、鯖はやっぱり脂がのった秋がうまい。
何一ついいことないのに夏の季語とはどういうことだろうか。

熱中症寸前

夏帽子ひさし摘まんで会釈かな

今日は大変な一日だった。

ランの棚板が腐ってきたので材料揃えて日曜大工に当てていたのに、スモッグ注意報、熱中症注意という予報。
しっかり暑さ対策して望んだが、それでも何度も木陰に入って休み休み、ペットボトル2lのお茶はあらかた一本飲んでしまうほど。
麦わら帽子風のハットを通して顔も腕もすっかり日焼けてしまった。
夜に入っても顔が火照って、おそらく昼間は熱中症一歩手前まで行ったんだろう。歳を考えると用心しなきゃと思うが、まだどこかで大丈夫だと思っている自分がいる。

通りがかった同じ団地の住民から声をかけられても、帽子を取るでもなく軽い会釈でしばらく雑談。
風もあり、湿度もなかったのが幸いだった。

素晴らしい楽曲家

珍客の電柱来鳴きバードデー

今年の愛鳥週間は終わった。

愛鳥週間はこの時期だけで秋にはないので季語として用例も見られるようである。
探鳥するには木々が枯れて葉を落とす冬がいいのだが、春から夏にかけては鳥たちの恋愛、子育もあり様々な動態が見られることもあってこの時期になったのだろうか。
元は、アメリカで4月5日を「バードデー」として鳥を守ろうとして考えられた活動だそうである。それが、日本にも導入された訳であるが、北の国ではまだ積雪があるということで昭和25年に5月10日から16日のバードウィークに改めれたとか。

ここんところ、前の道路を挟んでせまい区域を、朝から夕までイソヒヨドリがあのオーバーとも言える素晴らしい楽曲を聞かせてくれている。こんな町の中で鳴いたとて雌がくるとは思えないのだが。いったい何のために一日中さえずっているのだろうか。

ローカルルール

茅花野へエンタイトルのツーベース

茅花はすっかり穂となって風にきらきら揺れている。

草野球の外野席も茅花に覆われて、ここへボールが転がれば二塁打というのがローカルルール。
草野球の打って打たれてシーソーゲームというのも面白い。
梅雨が近づくと南から湿った風が吹く。「茅花流し」というしゃれた名前ももらって。
しばらくは薫風が続くらしいが。