ゆがく

落花生土つくままに後の月

豆名月とも。

ちょうど今が豆の収穫時期と当たっていて、たくみな命名である。
もっともこの場合の豆は大豆、大角豆の種類であって落花生までは想定されてないであろうが、たまたま菜園の先輩から身をたっぷりつけた見事な落花生一株を分けていただいた。
まわりの畝をみまわすと落花生の株がほんのり黄味がさして収穫時期であることが知れる。
土付きの殻を外してゆがいて食ったが、生の落花生独特の昔懐かしい味がした。

猫団子

後の月さへぎる影のなき盆地

明日が十三夜らしい。

ところが予報は曇。ならばと外へ出て仰いでみると意外にも今年は青くない。もちろんそのときの気象条件によるのだが、今夜もまた高気圧が真上にあるので放射冷却効果が顕著にでる盆地である。
秋の低気圧は猫も喜ぶが、高気圧は逆に猫の大敵。
ここのところ猫どもはいわゆる「猫団子」化して固まって夜を過ごしている。
それにしても、都会と違って田舎はいい。月を遮るビルもなく、空は広いのである。

青い月

宮入の山車庫鎖して後の月

昨日は十三夜。

陰暦九月十三日の月が冴え渡った。
渡御が終わり、太鼓台を蔵に納めれば、いよいよ直来の席である。男どもは八幡さんの境内にブルーシートを敷き神饌の酒を酌む、女どもは絵馬殿で賑やかに。
狛犬の足もとにはまだ青々とした稲穂を供えられ、今年の収穫を感謝する、いわゆる「秋祭り」なのである。
たがいに子供の頃から見知った氏子ばかりだから、座は月が随分高くにかかっても終わりそうにない。
夕からいちだんと輝きを増してきた月は、さらに青実を増してきた。北風も出て寒いくらいの夜。
案の定、今朝は10度くらいにまで冷え込んだようだ。

澄んだ月

絶え絶えと虫の音細き後の月
到来の豆茹であがる十三夜
明日また洗濯日和十三夜
銀に甍かがよひ後の月

夜も引き続き快晴である。

明日もまた洗濯日和という。
十月はすっかり雨の日々だったが、11月に入った途端空の青が戻ってきた。
十三夜の月も冴え冴えと光りを放っている。ちょっと一枚羽織りたくなる夜である。急に冷え込みがきつくなったが、名残の虫も細々と聞こえてくる。
今年はひさしぶりに片見の月とならずにすんだ。とくに何を飾るわけでもなく、外へ出てしばし老眼の目をしばたたかせるだけなのだが。

秋の色を待つ

筋雲のきざはし渡る後の月

十三夜はとうに過ぎた。

今年の十三夜はあいにく曇りで姿は拝めなかったが、明くる14日はこれ以上ないくらい澄み切った夜空で、十四日の月に照らされた筋雲が西から東へ流れているのがくっきりと浮かび、それはそれは素晴らしい月と雲のコンビネーションであった。
その後あまり天気には恵まれないようで、ここ数日は夏に戻ったような天気だ。空の具合ももうひとつさえない。ここしばらくは九月の気温が続くらしく、折角長袖に馴染んだというのに今日はTシャツ一枚に逆戻りとなった。夜になってもとくに問題はないようで、室内は夏日の25度を軽く超過。
過ごしやすいのはいいが、紅葉が待たれる今は順調に季節が進むことを期待するばかりである。

煌煌

いま何を恐れているや後の月

今日は後の月、旧暦9月13日、十三十六夜である。

昼間はずっと曇っていたのに、今外へ出てみたらやや暈がかかってはいるが見事な月だ。
このような明るい月夜のもとでは、すべてが小さい、小さい。人に隠れてこそこそしたり、人の横顔をうたがったり、そんな人生とは永遠におさらばしたいものだ。

月に野分か

後の月待たるる空の不順さよ

台風でとんでもない十五夜だった。

今日は台風一過、澄み渡るのかと思っていたらどんよりした曇りで夜になっても月は見えない。次は来月末の冴え冴えとした月を待つしかないのだろうか。