幾筋の出逢ふデルタや曼珠沙華
幾筋と出会ひ大河に曼珠沙華
例年なら曼珠沙華の群生が見事な時期、その堤防は雑草に覆われていた。
草刈り作業が遅れていたとみえ、今年はもう見られないかと思っていたところ、数日前に除草されたと思ったら、あっという間に曼珠沙華が顔を出してきたのだ。
何と言う生命力であろうか。雑草が覆っているときはじっと伏せていたに違いない。この生命力があればこそ、飢餓のときの「救荒食」たりえるわけだ。今ではこれを食べようなどと考える人はいないはずで、薬用に使うこともなくなったようである。そのかわりかどうか、品種改良もされているようで、黄色だの、白いのが赤いのに混じってさいているところを見かけるようになった。
曼珠沙華と言えばあの「紅蓮」が強烈なイメージの中心にあり、白を見てもぴんとくるものはないが、これも世の流れ。
ただ、俳句の世界ではまだ認知されてないようで、「曼珠沙華」と言えばやはり「紅蓮」なのである。