白菜

茎立の成長点を和えにけり

茎立、薹立ちのことをいう。

今年はいつになく暖かい日が続いたせいか、野菜たちの薹立ちがすでに始まっていた。
アブラナ科が薹立ちするといわゆる菜の花になるのだが、そのなかでも最もうまいとされるのが白菜だそうである。
その白菜だが、苗作りに失敗して蒔き直ししたのだが、やはり一ヶ月の遅れは大きてく結球しそうもないので菜の花をいただくべくその日を心待ちにしていたのだ。
ひさしぶりに畑に出るとその菜の花が顔をのぞかせていて、ためしにひとついただいてきた。
今夜の卓には間に合わなかったが、明日はどういう料理になるのか楽しみである。

菜花待ち

茎立の兆しありけり蕾は黄

収穫を忘れたわけじゃないが、気がつけば薹が立っていた。

真ん中に菜花の蕾が顔を出している。
いただいた苗をどう育てるかもよく知らぬまま植えたものだが、お隣も同じく薹が立ってきたようである。
タアサイという葉物だが、冬の間葉が地にへばり付いてまるで花のように四方に延びたまま収穫期を逃してしまった。
結局、このまま放置して伸びてきた菜花をいただくほかに仕方ない。

菜の花に

茎立菜手折りて揺るる花蕾かな

小蕪の名残が薹立ちしていた。

蕾にはうっすらと黄味が乗り始めており、このまま放置すれば菜の花となる。
柔らかそうな花雷を密につけているのを一本折ってみた。すると小気味よくポキンと折れて食べ頃と分かる。
菜の花になるものは花が咲ききる前に摘めばどれもうまいと言うことである。
結球しきれなかった白菜やキャベツ。薹がたつまでしばらく畑においておこうと思う。

多様な生きもの

茎立の黄色鋤込むトラクター

春耕の季節。

山奥に美しい畑が現れる。
土地に特有の野性種が咲いて一面の花畑。これが種になる頃トラクターで鋤かれて肥料になり、次の作物が育つ。
花は虫を呼び、さまざまな生きものの糧となる豊かな自然。
そういうサイクルが繰り返されて、その土地の風土を形成してゆく。

旬を失う

茎立つて天麩羅になどできゃしない

楤の木を見つけた。

公園のものなので遠慮しているうちに、芽はすでにしっかりした枝になり葉になっている。
ここまで成長してしまうと、固くて食ったってうまくはなかろうに。
蕗の薹だって、その薹が立派に立ってしまえば売り物にはならない。
山菜というものは、旬を過ぎれば価値を失うものの代表かもしれない。

薹がたつ

茎立や安否気になる畑の主

畑で畝の手入れをしていたら、上の段の借り主からご挨拶。

初めてお会いするのも春だからこそ。当地では晩秋に収穫を終えたら冬の間畑に出る人はまずいない。啓蟄も過ぎるとようやく人の姿が農園にも見られるようになる。暖かくなって這い出るのは虫だけではないわけです。
かなりの借り主とはご挨拶がすんだが、お隣さんとはまだお顔を合わせていない。昨秋には既におそらく手が入ってないと思われる畝は一面に雑草が伸び始めているし、わずかに採り残されたキャベツは薹がたって花さえ咲いている。