聴覚

雲雀の目もてドローンの揚がりけり

隣地に家が建ったので雲雀が上空を舞わなくなった。

聞こえるのは道路一本を隔てた農地から。
必然的に雲雀の声も遠い。
それでもぐんぐん上昇する気温に彼らの声はかしましい。恋もしくは子育てのシーズンなんだろう。
目で追う楽しみは減ったが、耳だけでも十分楽しめる気づきがあったのは嬉しい。

無線放送

雲雀野に雨よぶ雲のなかりけり

さいわいにまだ裸眼で雲雀をとらえられる。

ということは合焦機能がちゃんと働いていることである。ときに声の方をさがしても見つからないときもあるのだが。これはたいていが雲雀が風に乗って素早く流れているときである。目を向けた方向にはすでにいないということが、なおさら見つけられない原因となるのだ。

今日の日中は作業を避けた方が賢明というくらい暑かった。明後日から天気が崩れると言うので、それまでにやらなければならないことは山ほどある。外へ出るタイミングをはかっているうち、いつの間にかうたた寝をしてようで目覚めたらすでに3時を回っていた。デイリーのルーチンがあり、農作業終わってからだとしんどいのでまずそれを片付けてから出かけると、時間はもう4時半。それから1時間半ほど、6時の町内無線放送を聞いて終了である。

もう帰りましょう

入相の鐘や雲雀の高みつつ

もう夕方なのに相変わらず雲雀が頭上で賑やかだ。

午後6時になって自治体が流す子供向けの「もう帰りましょう」放送が聞こえても、まだふらふらと南から北へ流れていくように飛んでいる。やがて3軒くらい隣の、今は家庭菜園になっている空き地に着陸したのを目撃。朝にも同様の光景を見ているので、どうやらその畑はお気に入りの場所のようだ。
それにしても、雲雀が降りるさまは「落雲雀」というくらい独特で、いつ見ても目を楽しませてくれる。まるで模型飛行機がゴムがすっかり巻き戻されてふらふら着陸するように、羽根を広げたまま左右にゆっくりバランスを取るようにして降りてくる。そして、最後の10メートルというのはあっという間に落下という風情だ。

首を傾げる

雲雀降る浮力の失せし飛行機ごと

また雲雀が目の前に降りてきたのを目撃できた。

まるで紙飛行機が失速したように、羽を広げたままフワッフワッと着陸するのだ。このような降り方をする鳥を他には見たことがなく大変珍しい。

降りた後も人目を気にするそぶりもなく、悠々と散歩する。雲雀ってこんなに大胆だったのかなあと首をかしげるばかりだ。

ひらりひらり

ひらひらと揺れて降りけり初雲雀

一片の散華なるべし初雲雀

先日、今年初めて雲雀の声を聞いた。

聞いただけでなく空き地に降りたって餌を探す雲雀と目と目が合ったのだ。だが彼は(彼女は?)いっかな逃げようとはしない。マイペースで空き地を逍遥するので拍子抜けするほどであった。
さらに今日は、50メートルくらいの高さの一点に羽を広げたままとどまって鳴いているのを不思議に思って見ていたのだが、そこから意を決したように一気に降りてきた。その降り方はというと、やはり羽を広げたままゆらりゆらり、ひらりひらりとまるで木の葉が舞い落ちるように、しかし確実に目標に向かうのだった。気がつくとそこには既に先住者がいてさらに驚いた。

地上の逍遥

地を這うは用心あるべしおか雲雀

今日の写真はちょっと見にくい。

家の裏で餌を捕りながら歩いていたのを、急遽換算200mmのマニュアルレンズで撮ったものなのでピントもずれている。
3月になってから、毎日のように家の上空で何羽かのヒバリのさえずりが聞こえる。
今日も上空50メートルほど上で鳴いているので見上げていたところ、裏の空き地に別のが降りてるではないか。あわててカメラを取りに行って写したものだ。
パソコンに取り込んでみたが、やはり正体はヒバリだった。雀よりちょっとだけ大きい。
ほんの目の前、5メートルくらいかな、こんな間近でヒバリを見るのは初めてだった。