秋本番

坂はるか銀杏並木の色づきぬ

秋が駆け足でやって来ている。

自宅とは大和川を挟んで対面にある丘には大きな住宅地があって、西名阪道香芝ICに出る際のショートカットにもなっているのだが、昨日久しぶりに通ったら街路樹の銀杏がもう黄葉半ばという風情で、とびとびにある雌木には葉の間から小さな実がいっぱい顔を出していた。
暑い暑いとこぼしていたが、昼と夜の気温差が大きい土地では早くも秋たけなわの様相を帯びてきているようで、これからどんどん秋が深まっていくのだろう。

何をするにもいい季節を迎えた。

濃紺の献花

竜胆を添へて墓苑に香立てり

病人がいるので長い時間家を空けられない。

ただお彼岸なので墓参りだけはしなくちゃと思って、父親の墓への往復はとても無理だが春先亡くなった猫ちゃんのお寺なら2時間ほどで往復できそうなので出かけることにした。
今週から往診の先生が隔日に点滴をしてくれることになり、今日の点滴が始まるのを待ってあとは家人に任せ一人で出たのだが、途中花屋さんで目についた濃紺の花束がいくらか気分を明るくしてくれたような気持ちがした。

後の彼岸

病む母は墓参かなわず秋彼岸

この1週間、日中ずっとベッドに寝ていることが多くなった。

今週にはいって病状がさらに悪化し、栄養分の摂取は少量の流動食とそれを補う点滴に頼る状況で、ますますベッドに臥す時間が伸びることになりそうだ。家人には当分必要最小限の外出しか許されないことになる。

秋の七草

黄のカーテン透かして揺れる女郎花

秋の七草のシーズン。

ある植物園でコーナーに植え込んだ女郎花が満開だった。通路の角を曲がってこれを発見したグループが思わず歓声をあげる。通路にもたれかかるように展がった女郎花はさながら黄色のカーテンのようであった。

子猫

猫の子の顔見せるころ夕月夜

最近野良の子猫ちゃんが家の周りをうろついている。

生後5ヵ月くらいだろうか、生育状態が悪いので実際はもう少し大きいのかもしれない。
春先に亡くなった子の生まれ変わりかもしれないと思うと、つい餌などをやってしまう。こうしてだんだんと別れづらくなりそのうち家の子になってしまう予感が強いのだが。

新月からしばらくの間宵のうちだけ月がある夜を夕月夜という。
今日は旧暦8月3日。三日月夜でもある。

秋の光景

蜻蛉の群れ浮き上がる射し日かな

気ままな雨がやんだら、光が田の上に射し込んできた。

斑鳩の里に広がる田には今蜻蛉が乱舞するほど飛んでいる。

虹の彼方に

屋根間から生え来るごとく秋の虹

これも台風の余波だろうか。いきなりざあっと雨が来たかと思うとすぐに止んで、隣町から大きな虹が立った。

わずか数分だけのショーだったけど、随分大きくて、背が高くて、しかも二重橋だった。そういえば、最近は二重にかかるのを見るのは珍しくなくなったような気がする。7,8年くらい前だったろうか、夕方のハワイで見たときが初めてでそのときは随分感動したものだったが、その後国内でも何度か経験すると特に珍しくもない。

ただ、ただ、今日のは突然の出現にめんくらってしまい、カメラを取り出す手許がもたもたしてしまった。