筏師

棹さすは亀が二匹の花筏

亀二匹棹さすごとく花筏

今、橋の上から筏が流れていくのを眺めている。

その筏の間から亀が鼻先を出している。
よくみるとさらにもう一匹。
たがいに花びらをうまく交わしながら十分な息を吸うと再び潜っていった。

あやかる

吉野山桜権現詩ごころ

来週吉野に登ろうと思う。

この季節、いうまでもなく桜の山として賑わうが、古来から歴史と大きな関わりをもってきたという点でおおいに興味をそそられるものがある。
天武の蜂起を支援し、義経逃避行を助け、南朝が宮を置いたりとか。
それに何と言ったってあの桜の西行さんが3年も庵を結んだ山なので、その跡を訪ね、苔清水を掬って西行さんにあやかろうと思う。

壮観な筏

花筏集めて広し大和川

幅約100ヤードの川一面に花筏が流れていく。

ここは、自宅近くを流れる大和川だ。河口から28キロの地点。
佐保川はじめ飛鳥川など盆地内のすべての川が最終的に一本となったあたりで、その川幅はかなり広いのだが、それが上流で散った桜花で覆われている。壮観といっていい。

先日、奈良の堰堤には桜が少ないと嘆いたが、さすがに全支流分を集めるとこれだけの量になるのだなとあらためて驚かされる。多摩川などよく知られた川でも、これほどの量までは集まらないのではないだろうか。

窓を開けて

春灯の窓より聞こゆ会話かな

ようやく気温が上がる日が続いている。

夜になってもカーテンや窓が開いたままで灯火だけではなく、家族の団らんの声ももれてくる。

別格の観光地

やっと来たバスに揺られる花疲れ

渋滞のせいか駅行きのバスがなかなか来ない。

やっと来たと思ったらステップにあふれるほど満員で次のバスを待つほかない。
そんなことを2,3回繰り返してようやく乗り込むことができたのだが。

休日でもないのに京都は観光客でいっぱいだ。これが土日だったらと考えるだけで怖くなる。
桜の季節だから特に多いのだろうが、内外を問わず多くの観光客にとって京都は魅力的な街なんだろう。

花曇りの清水寺。音羽の滝から本堂の舞台を望む。

JRで約1時間20分。料金は950円。
意外に京都は近いのだ。
次は夏の素麺でも食べに行こう。

花の都の花衣

花衣異国の言葉を交わし居り

昨日に続いて今日の季題も「花衣」。

今日は今を盛りの桜を求めて京都を訪ねた。
円山公園から清水寺に向けて、二年坂から三年坂、そして舞台に近づくにつれやたら和装の人たちが目立つ。
最初は「桜に似合いの花衣」と喜んでいたが、どこかが、なにかが違う。
そう、顔つきで日本人かとばかり思っていたのに、半分くらいの人たちがアジア系の言葉を話しているのだ。
どうやらどこかで観光客相手に貸衣装商売をしてるらしい。
なかには、完璧に欧米人とおぼしき大柄で体格の立派な女性を見かけたが、丈もサイズも問題なく用意されてるとみえ、あの長い坂をぐいぐいと登っていくのには圧倒されてしまった。

白川の辰巳橋から。このあとアオサギが目の前に着水し、人目も気にせず堂々と足下の橋をくぐっていきました。

同族の絆

祭文字染め抜く法被の花衣

地域の役員だろうか、揃いの法被を着た一団が花見の宴たけなわである。

あちらでは野球チームのユニフォームグループだ。
同じグループに属する人間同士にとって、こういうハレの席ではとくに親近感が強まるものらしい。
結構、おおいに結構。
普段のしかめ面も忘れておおいに盛り上がるがいい。