汐吹き

床濡れるほどに砂吐く浅蜊かな

今ではアサリやシジミというのは、スーパーで買うのが当たり前となっている。

この時期になるとうまいアサリの汁を食いたくなるのだが、うちの嫁さんときたら、流通が複雑で本当の産地というのがよく分からないという理由ですっかり買ってこなくなった。
たしかに、三重産と書いてあっても最後の袋詰めしたのが三重であって、そいつはもしかしたら半島からの輸入物かもしれないのだ。
産地はともかく、複雑な流通のせいか、ぷっくらしたアサリなりシジミというのは最近は滅多に口に出来なくなったのは事実である。それに、真空パックみたいな袋詰めされ息も絶え絶えのアサリなどとても旨そうには思えない。

大粒のアサリをバケツ一杯収穫しては包丁を差し込んだ金盥で砂吐きさせるのだが、床がすっかり濡れるほど盛大な飛沫がとんだ昔の光景が懐かしい。

葦始生(あしはじめてしょうず)

一畝の芽掻き終えたる穀雨かな

平群の特産・小菊の新芽がいっせいに吹き出したようだ。

数人の農婦が畝の手入れをしている。
不揃いの新芽を整えているのだろう。
今のは多分二ヶ月くらい先の出荷だろうから、盆、秋彼岸とピークにむけて時期をずらしながら畝の準備がされるんではなかろうか。このあたりは、観察を怠ってはならない。

今年の穀雨は実は昨日、穀雨を使った句を詠もうと思っていたのに当日はすっかり忘れていた。

地上の逍遥

地を這うは用心あるべしおか雲雀

今日の写真はちょっと見にくい。

家の裏で餌を捕りながら歩いていたのを、急遽換算200mmのマニュアルレンズで撮ったものなのでピントもずれている。
3月になってから、毎日のように家の上空で何羽かのヒバリのさえずりが聞こえる。
今日も上空50メートルほど上で鳴いているので見上げていたところ、裏の空き地に別のが降りてるではないか。あわててカメラを取りに行って写したものだ。
パソコンに取り込んでみたが、やはり正体はヒバリだった。雀よりちょっとだけ大きい。
ほんの目の前、5メートルくらいかな、こんな間近でヒバリを見るのは初めてだった。

夏日

山峡の畑やわらみ山笑ふ

今日の奈良盆地は気温25度で夏日。もう初夏と言っていい日差しだった。

昨秋、雑木紅葉が見事だった山が一気に眠りから覚めて萌えの時節を迎えている。
山あいの聚落も見違えるほど明るくなり、畑では多くの人が農作業にいそしんでいた。

急坂の上千本

忠信が忠義の坂も花名所

天気図と相談して吉野山へ行ってきました。

期待通り、最高の眺めです。

上千本・花矢倉展望台から。
遠くに金剛・葛城山が望めます。

最初、麓の吉野駅からバスを乗り継いで奥千本に着いたのですが、まだ開花してません。
そこで西行庵はあきらめ、上~中千本まで徒歩で降りてみることにしました。
西行庵へは秋の紅葉時にでもチャレンジしようと思います。
ところで、その西行庵、本当に奥深いところにあるんです。奥千本のバス停から仰ぎ見たわけですが、吉野山でも一番高い辺りにあるのではないでしょうか。その先はもう空しか見えません。
食料調達の必要もあって最低限の麓との行き来があったでしょうが、それ自体行ですね。
さすが、奥駆け修行の本場です。

中千本でいただいた葛切りは汗をかいた後だけに、喉ごしひんやり。

これを句に詠もうと思ったのですが、葛の季語は夏なんですね。
吉野山ですら今日の天気は初夏といっていいくらいの暑さなんですが、ちょっとね。
桜の塩漬けが甘いシロップとハーモニーして疲れた身体に活を入れてくれました。

ピンクの絨毯

ゆきずりで道連れとなる芝桜

今、芝桜が旬ですね。

何年か前に秩父・羊山公園の芝を見に行ったことを思い出します。
意外に種類が多いんですね。今は9種類のものがあるようです。

一方、芝桜公園の元祖的存在といえば北海道の東藻琴なんですが、この近くにお住まいの方とあるツアーでご一緒したことを懐かしんでいます。

原色

家々にチューリップ植えたる露地の街

各戸のプランターに植えられたチューリップが今を盛りに開いている。
この家の前に、あの家の前にも。

ついこの間までの殺風景な光景とうってかわって、露地がチューリップ、パンジーなどの黄や赤の原色で埋め尽くされてる。