甲子園へ

県予選球児のなみだ眩しけり

甲子園めざして各地で連日熱い戦いが続いている。
念願かなって甲子園への切符を手に入れたもののうれし涙、逆にあと一歩及ばずで悔し涙にくれる若者たち。
この涙はこの日に向けて青春のすべてをかけてきた者だけのもの。
燃焼しつくせるに値する目標をもつ若者たちはうらやましいほど眩しく輝いている。

鎮魂の神事

野馬追や鎮魂の法螺立てるなり

今年の相馬野馬追いでは、震災や原発事故もあって神旗争奪戦などの勇壮なイベントは中止となったが、震災犠牲者を悼む法螺貝が一斉に吹き鳴らされた。
法螺を吹いて鳴らすことを「法螺を立てる」といい、このたびの吹奏はその立螺(りゅうら)の作法にかなった追悼のものだと聞いた。
今年の野馬追いは神事としての重い行事である。

コントラストの夏

夏日傘踏切りに落つ影の濃き

この時期の物の影というのはすべからく濃いものがある。
炎暑に炙られた踏切の眩しさと、それを渡る人たちの影もまたコントラストを強めていた。

夏はコントラストの季節である。

蝉の不作年?

叢入りて蝉の恋路の邪魔となる

草むらにうっかり足を踏み入れたところ、まさに行為中の蝉を驚かせてしまったらしい。
ジッと一声鳴いて目前を飛び去ってしまった。
いつになく蝉の声が遅い年だが、気づかないところで生物たちの営みは続いているようだ。

地デジ移行の日

アナログのテレビはるかに大暑過ぐ

テレビの若ノ花・栃錦戦みたさに一杯数十円のうどん屋さんに駆け込んだ日。
力道山対ルーテーズ戦を手に汗を握りながら見た日。
街頭テレビで大人の肩越しに日本シリーズを見た日。
現天皇と美智子さまの結婚式のパレードを近所の家で正座して見た日。

どの映像も今のデジタルテレビと比べて決してクリアとはいえないが、記憶の方は鮮明である。

今日アナログテレビ放送が終了した。

台風過ぎて

ぽんぽんと聞こえてくるよな花蓮田

長い間居座っていた台風6号のおかげで暑さも一幅していたが、それもどうやら今日まで。
朝の涼しい内にと、家内を誘って古代はすが咲き始めたという毎度の公園へ。
もう午前9時をまわっていたから、ぽんと音が聞こえるという開花の瞬間には当然間に合わなかったが。

仮住まいの客

老鶯がご機嫌伺ひ仮の宿

仮住まい中の一軒家はかなりガタがきていて住みづらいことこの上ないが、唯一楽しめるのが毎朝の鶯の訪問。近所の家々を一軒一軒周回しては好い声を聞かせてくれるので、だんだん声が近づいてくるのをワクワクしながら待っている。