浅漬け

葉も茎も青々とした大根買ふ

葉っぱや茎が新鮮なのをみると思わず足が止まる。

浅漬けにして喰いたい。だからすぐにカートに収まってしまう。店先に並ぶまでに葉や茎は落とされてしまうことが多いが、たまに葉付きのものを見つけると食指をそそられるのだ。

そろそろ大根干し光景も見られる季節になった。

冬の花

石蕗の 小さき鳥居にそんこかな

何を祀ったのであろう、小さな祠とその前に小さな赤い鳥居がある。

ここはある公園の片隅、鳥居の根元には黄色い石蕗の花が咲いていた。
紅葉の盛りであるが、木の上だけでなく寒々とした地面にも存在を主張する植物がいる。

寒い日

寒がりの猫を理由に昼炬燵

今日は昼間から暖房のスウィッチが入った。

それも猫を言い訳にしてだ。あろうことか、あまりの心地よさに猫と競うようにして昼寝してしまった。気がついたら足下の毛布の中に添うようにして猫が丸くなっていた。

暖冬、一転して

エルニーニョ消えて牡蠣鍋つつく宵

今冬の気象だが長期予報が大きく変わったようだ。

何でも暖冬の原因になるというエルニーニョ現象が消えたとかで、一転厳しい冬になるという。ここ数年間というもの暖かい冬が定着していたので、体の方もすっかり暖冬型。
気合いを入れ直して冬に向かわねばならない。

渇きを癒やす

小雪も過ぎて蜜柑の色揃ふ

この頃になると店先には青蜜柑にかわって新鮮な橙色の蜜柑が並ぶ。

味もやや甘みがうすく少し酸っぱ味のあるものから、甘味がかったものへと変質しており、今頃の蜜柑の甘さが一番好きだ。これが正月を超えるようになると、皮も幾分膨張気味で味にも緊張感がなくなってしまって締まりのない味になってしまうような気がする。
風呂上がりの渇いた喉には三つや四つくらい平気で食べてしまえるほどだ。

土に還る

母土に鈴鹿颪の通り道

平等寺さんにお願いして亡母の満中陰の法要のあと、続けて石薬師で納骨法要を行った。

霊園に着いた頃にはもう日が傾きかけていたので、風が一入冷たく感じる。ここはまさに西に見える布引山地から鈴鹿颪が吹き渡る場所にあるのだ。

遺品整理

日短や母が手跡のメモ読みゐりぬ

明日に満中陰の法要を控え仏壇を整理していたら、亡母の在りし日を思い浮かべることができるものがいろいろ出てきて全然片付かなかった。

子供たちに当てた歳暮の送り状控えの品物などを見ては「毎年律儀に送ってくれたなあ」とか、文字などを見ては「ああ、こういう字だった」、その日付を見ては「ああ、あの頃はまだまだ元気だったなあ」とかいろいろなものが去来して堪らないものが胸を満たす。