みぃーちゃんハウス

鶲來と筆まゐらせる寓居かな

ようやく今日姿を捉えた。

ジョウビタキである。
ここのところ朝起きると、「ひっひっ」とどこかでは鳴いていたのだが見つけられずにいたのである。
今日のはどうやら雌のようである。
フェンスに掴まって、庭土を見下ろしている。虫でも探しているようだが、やがてジャンプして草の中に隠れた。さいわい、猫のみぃーちゃんは温室で昼寝しているようである。
そう、ビニル温室一棟がみぃーちゃんのハウスであり、そのなかにおいた発泡スチロールで裏打ちされた段ボールが寝床なのである。昼間は日が当たると結構な温度になるらしく、ときどき外へ転がり出ては体を投げ出している。
ともあれ、遭難することなく鶲には毎日來てほしい。

餅をまるめる

餅を搗く小五の女児のたくましき
自治会の年寄衆に餅配る

昨日は団地の餅搗き大会。

シニア部の面々が中心になり前日から用意したものだが、何臼くらいついただろうか。
当日出席できない役員に届ける分もつくので相当な量である。
家族で参加するのもいて、子供たちは興味津々。代わる代わる子供たちにもつかせるのである。小五ともなると女の子の体格も立派なもので、男の子たちよりよほどしっかり杵をふっている。
いくらか、醉いも加わったあたりで、仕上げは夜廻りとなった。
ここでも女の子にハンディスピーカーを持たせて団地を巡る。最初はかけ声と柝の音がなかなか合わなかったが、坂の町を巡るうちに体もほぐれたか、だんだん調子がよくなる。
それにしても「火の用心。燐寸一本火事のもと。」はさすがに時代にマッチしない。防犯も兼ねて「戸締まり用心、火の用心」とあいなった。

魔の下り坂

峠にて冬日を返すもののあり

伊賀方面から奈良盆地に一気に駆け下る峠がある。

Ωの形をしているところからΩ(オメガ)カーブ、魔の下り坂として知られる峠だ。
この峠は名阪国道として奈良や大阪と伊賀、伊勢、名古屋を結ぶ重要な道だが、盆地の西側の山の中腹に作られているので盆地のどこからでもその位置がはっきり分かる。
大型のトラックなどが通ると、一瞬パネルに当たった光りを返しながら降りていくのがよく見える。逆に上り車線は山側を通るので車の往来は見えないのであるが。

忙中閑

句をとむる一ㇳ日授かる年の内

年賀状もまだ手をつけないのに。

なぜだか朝から、古い句集を引っ張り出してきて。
いくつか年末の句が浮かんできた。
別に授かったわけでもなく、年末のあれこれをサボっただけだが。

まる見え

団欒の目隠蔦の枯れにけり
蔦枯るや由緒正しき煉瓦塀

ようやっと日除けの棚を片付けた。

日除けでもあり、プライバシー確保の砦でもあったのだが、さすがに蔓まで枯れてきては醜いばかりである。
来年の初夏の頃まで半年あまり、ブラインドだけが賴りなんだが、猫どもが暴れるとめくりあがったりしてやれやれである。

どこで死ぬか

死ぬるまで彼の地かクリスマスカード

もう何十年も海外で暮らしている知人いるが、この先どうするのだろう。

毎年毎年この時期になるとカードを送ってくれるが、雰囲気からすればもうそのままそちらで骨を埋める腹を据えたようにも思える。
そこのところは具体的にはふれてないが、たまに帰国したときの口ぶりで何となくわかるような気がする。
人間どこで死のうが死にゆく者にとってはどうでもいいことであるが、問題は死後構ってくれる人がどこにいるかであり、迷惑だけはかけられないのだ。
海外が長ければ子供たちも日本とは疎遠になることだし、やはり子供たちの近くで死ぬることが一番の子孝行となるのは間違いない。
かくいう自分も、己のわがままで子供たちのいる東京を捨ててきたのだが。

一足早く

宅配のピザをせめてに聖誕祭

ケーキではなくピザ。

これが老夫婦のささやかなクリスマス。
クリスマスだからといって、今までこれということはやってないが、たまたま今日ピザの店の前を通りかかってたべたくなったから。
持ち帰りなら一枚ただという看板に目がとまったのだ。
家では全く飲まないが、たまたまいただいたビールがあったから、飲めない家人をおいて一人で祝杯。だが、二人で二枚はさすがに重い。半分ほどは残してしまった。