漠として

震源の海の黙して夏霞

紀淡海峡あたりを震源とする小さな地震が多い。

長野・岐阜・富山三県にまたがる群発地震も気になるし。
列島は東や南から押し寄せるいろんなプレートに乗っかっているので、紀淡海峡のみならず太平洋側はすべて震源域といっていい。
今は静かに凪いでいても、いつ牙をむくともしれない海なのだ。
しかし、東南海地震が30年の確率70%という数字を聞かされても、このかすむようにおぼろな淡路や阿波のごとく漠とするばかりである。

一堂に会す

テレワーク器材そろうて新茶汲む

マイクとイヤフォンセットの売れ筋が品薄だそうである。

最近のノートパソコンならカメラやマイクは内蔵されているので、流行りのZOOMなどオンライン会議などはすぐに実現する。
ただ、環境によってはイヤフォンを使わねばちゃんと聞き取れないとか、やれ音質がどうとかで、ハンズフリーにもなるマイクとイヤフォンセットを求めるわけだ。
テレワークはいいが、家族も居て仕事せんようの書斎などがないと、なかなか落ち着かない面もあるのだろうか。
筆者などは別にスマホでもいいとも思うし、長く休会になっている句会などもオンライン会議のシステムでやれれば面白いとは思うが、そうなれば家庭の一面も覗かれるような気がするし、所詮趣味でしかない俳句の合評など聞かされる家族にとっては雑音でしかなく肩身の狭いものにもなろう。
やはり、俳句は座の文学として一堂に会し顔を合わせてこそのものなのだろう。

路地抜ける風

往診の看護師つれず路地薄暑

当地は午後休診というクリニックが多い。

午後は夕方5時からというような具合である。
何故なのかなとは思っていたが深く気にもとめずにいたが、たまたまかかりつけ医と街なかの路地でパッタリ遭ってその理由が分かった。
挨拶もそこそこに彼はある家の門をくぐっていった。彼の家のあるところではないようだ。
どうやら、訪問医としての往診のようであった。それこそ、手ぶらで、おそらくポケットには聴診器くらい入っているだろうが、ぶらりと門のなかへ消えてゆくのだった。急を要するという風でもなく、住宅は新しくもないが立派なお屋敷のようであるし、高齢の方の在宅治療のいつもの訪問であろうかとは推測できるのである。
今日あたり空気が入れ替わったようにからりとした青葉風が吹く日である。

成長期

ウェブ会議窓の筍流しかな

黒南風とも茅花流しとも、筍流しとも。

梅雨の前触れの南からの湿った風に、触れるものみな湿り気を帯びて、名前とはうらはらに決して気持ちのいいものではない。
猫たちのトイレの砂もどことなく湿りを帯びて、猫たちだっていい気持ちはしてないのじゃないか。
なんとなくこのまま梅雨に入っていくような、そんな予感のする毎日である。
とはいえ、この時期は筍があっという間に生長する時期でもあり、野菜や雑草もぐんぐん伸びる成長期で、韮が切っても切っても1週間足らずで収穫できるありがたさ。
おかげで今年は韮料理が多い。

電池怠りなく

短夜の地震かと思ふラヂオかな

ふと細かな震動を感じたような気がして目が覚めた。

昨夜だったか徳島沖太平洋を震源とする震度4の地震があったので、もしやその関連かとおもって枕元のラヂオをとったがウンともスンとも言わない。
電池がきれたようだ。
最近はベッドに入ると5分と持たず寝てしまうので、ラヂオを聞くことなどすっかり忘れていたのだった。
このところ毎日のようにどこかで震度3や4の地震が起きていてどことなく気味が悪い。
今朝は覚えているうちに電池交換をしておいた。

解除

受賞者はシルバーセンターばら係

今日は薔薇10句に挑戦。

19日締め切りだから早い目にと思って始めたが、何とか形にはなりそうである。
掲句はそのうちの一句。
今は駐車場閉鎖でフラストレーションたまる、いつもの公園。
プロの造園屋も入るが、地元のシルバー人材センターから派遣された人が雑草取り、枯葉集めなど四季それぞれに下支えしてくれている。そのおかげで、季節ごとのイベントを楽しめるのである。
当県も緊急事態宣言解除されたので、もしかしたらいつもの公園も大丈夫かもしれない。

第二波

処方箋届く卯の花腐しかな

梅雨の走りのような雨だ。

そろそろ薬がなくなる頃だと思っていたら、珍しくかかりつけ医から電話があって薬出しますがどうしますかと。
もちろん一も二もなく好意を受け取ることにした。
この連休明けに予約していた歯医者もキャンセルさせてもらったし、今は人が集まるところには行きたくないという気持ちが勝っている。
ニュースでは緊急事態宣言解除とともに、スーパー銭湯に行列ができたとか。信じられないことである。
初日からこうではいずれ第二波がやってくるのは間違いないだろう。