春愁や血をあらそへぬ宿痾もて
はらからと同じ宿痾の春愁
遺伝的体質というものだろう。
めったに電話してこないので珍しいと受話器を取れば、長患い覚悟の入院の報だった。
たまたま毎月の通院日にあたったので、用心のため来月の精密検査を予約する。
十年、二十年の長さのあっという間と実感するなか、訃報のニュースの享年も自分の齢とだんだんと近くなってくると、自分もそれほど遠くない将来にはと思えるのだが、どこかでそんなことを考えるのを避ける自分もいるのだ。
こんなことを繰り返して一年、十年はたちまち過ぎ行く。