チェーンの用意は

スタンドの店員あふぐ雪催

明日未明から明後日にかけて雪かもという。

今日の夕、外へ出てみたが雪が降りそうな気温からはほど遠く、むしろ温かいくらい。
これで本当に雪が降るのだろうか。
今年はまだ一度も雪を見てないので、雪よ来い来いと待ちわびているのだが、それも非雪国の脳天気ゆえのことである。
実際に、積もるほど降ればたちまち交通が乱れ、車に頼る日常もおおきく影響を受けかねないのだ。

雪が積もればチェーンや冬タイヤの販売、交換で大忙しのガソリンスタンドだけに、関係者にとっては大いに気になるところ。明日は掲句のようなシーンが見られるだろうか。

オマージュ

父に出て子らはシリアル寒卵

「卵より海苔が好き」「ふりかけがいい」。

子供は卵が好きだというが、それは卵焼きのことであって生卵ではないのではないか。
現にわが家の子供たちは卵かけご飯より、圧倒的に納豆ご飯が好きだったし、家人もあまり好きではなく食卓に滅多に生卵が乗ることはなかった。家人はいまでも海苔派。おかずがなくなると残りのご飯を海苔だけで食べている。
そう言えば、家人に懐いた先々代の猫も海苔大好き。しかも上等かつ湿気てない海苔にかぎるのだ。グルメだったのである。

いっぽうで自分だけ卵かけご飯を食いたいとは大きな声で言えず、せめて句の上では逆説的オマージュとして家父長の威厳を取り戻すのである。

ケとハレ

口聞かぬ画面相手に初買す

ケのものを買うのではなく、ハレのものを買う。

それが買い初めの対象だ。八百屋で野菜を買ったり、スーパーで味噌醤油など日用のものを買うのではない。
いかにも新年にふさわしく、新年をことほぐ買い物である。
おのずと心浮き立つ心地する買い物であるが、これだけネットショッピングが当たり前の時代となると、その楽しみもいまでは一瞬のクリックですっ飛んでしまいかねない。
今日は夫婦別々に買った商品が宅配で届けられた。僕の買ったのは電気歯磨きの替えブラシだが、はたしてハレと言えるかどうか。

聞く耳

侘助の庭の垣根の縄傷む

茶室の入り口脇に八畳ほどの広さの前庭がある。

四つ目垣が張り巡らされ、しっとりとした苔の庭に侘助が小さな花を下向きに咲かせている。
柴折戸も竹を組んだだけの簡素なもので外界と隔てる意匠はなく、しかも立て付けがゆるりというかゆったりとやや傾き加減の趣がなんとも心地よい。
苔には鳥が落としていったものが芽生えたと思える小さな万両が早くも実をつけていて、緑のなかの紅のアクセントが効いている。これも意図したものなのかどうか分からぬが、見事な意趣である。

ここ、吉城園は県の所有であるが、近々民間のディベロッパーに売り渡され高級旅館に生まれ変わるという。
東大寺敷地に隣接して一帯の緑の一画をなしていて、大仏殿とちょっと離れただけなのにうって変わって閑静なところが魅力なのだが、反対する声を無視して県は強行突破の姿勢を崩さない。
県立高校の統合問題も住民からひろく意見を聞くことなく、一方的に方針を決めては断行するらしい。
宿の少なさ、公立学校の冷房化率では全国ワースト、あいかわらず時代遅れのお上主導によるイベント行政。
県政の貧弱さは近畿六県のなかでも際だっているといえよう。

十輪ほど

小さきを羞づるがやうに冬の梅

庭の白梅が咲いた。

ここ数日の暖かさにさそわれたか、今朝十輪ほどを発見できた。
もともと早咲きではあるが、これから寒さのピークに向かおうというときに開くのは珍しいかもしれない。
剪定がうまくいったか、細かい枝をいっぱいだしてそれぞれにびっしりと蕾がついている。花はまだ小さいというか、開ききらないというべきか、身を固く縮めるようで蕊もまだまだ未開のまま。
このまま順調に開花が進むとは思われず、今年は長い間楽しめるのではなかろうか。

慈雨となれ

撫牛の艶をましたる寒の雨

今日は大寒。

これから2週間ほどが一年でも最も寒い季節。統計では大阪は29日が底だそうである。
だから、いつもこの時期にセンター試験が行われるのが不思議でならない。雪のない地方はともかく、日本海側など雪の多いところでの交通事情などを考えると、それだけでも受験生に大きなストレスをかける恐れがあるからである。
今年は大きな混乱もなく終了したと聞く。何よりのことである。
受験生といえば、各地の天神社で合格祈願のお守りをいただいたり、絵馬に願いをかけたひとも多いであろう。
当地では朝から暖かい雨が降って、寒の雨とは思えないやさしい雨であった。受験生の未来に等しく慈雨があふれますよう。

旧石器時代へ

サヌカイト工房跡の竜の玉

二上山にはサヌカイト(黒曜石)が産出した。

サヌカイトを割ると鋭い断面をもつことから石器の材料となった。二上山のサヌカイトが各地に運ばれて、石器の材料となったことはよく知られている。
わが家から500メートルほど坂を下った大和川畔でも石器工房があって最近発掘されたが、いつも散歩するコースにも旧石器時代(15,000~16,000年前)!の工房跡があり、そこは二上山をくっきりと眺められる高台の絶好のポイントにある。
発掘調査の終わったいまは緑道として整備された道となっていて、起伏のある地形から当時をしのぶしかないわけだが、アオキやガマズミなど実をつける木も随所に散りばめるように植えられている。