子の名前言へてしきりに暑がれる
母の最後の夏のこと。
家中のエアコンを動かして冷房を効かせているのにしきりに暑がった。
また、50才くらいから始まった難聴は、すでに完全に聞こえないレベルにまで進んでしまって、筆談でしか会話できない。おまけに認知症も加わっていて、会話は何度も何度も同じことの繰り返しだ。
ただ、救いだったのは、自分の子、孫の顔や名前をはっきり認識できていたことだ。親子、肉親と最後に暮らすことになって、少しでも気兼ねなく過ごせてもらえたと思いたいし、孤独感も幾分かは緩和されたろうと思いたい。