蒸タオルされてうつつの春隣
部屋に綱打つ日さだまり春隣
真新しき明け荷三つの春隣
房総へフェリーそろりと春隣
毎日「寒」の句ばかり続くので気分転換。
一足早く春を呼んでしまおう。
というわけで、散髪屋でさっぱりする話。
最近は千円カットなる店が増えたが、シャンプー、ひげ剃りのサービスはなく、ほんとにカットするだけの店だ。
シャンプーがないというのはほんとに困りもので、細かい切りくずが首筋などから入った日にはかゆくてたまらない。
やはり散髪屋となると、たとえ子供でも耳の周囲、首筋、額の生え際、眉毛まわりなどはちゃんと剃刀を当てるのが普通だったし、シャンプーも丁寧に二回してくれるのが普通であった。
窓から暖かい日差しも入って、暖房がよく効いている上に、湯を沸かしたりタオルを蒸す蒸気もあって湿度も充分とくれば、そこはまるで温室である。蒸しタオルされてしばらく放置されてる、ほんの短い間にもすぐに睡魔がおそってきて、あとは半分眠ったまま顔を剃られている。終わってさあと椅子を起こされても、そのあとのシャンプーの気持ちよさが続きまだまだ魔術は覚めない。
関西ではシャンプーの最後はさあと顔を自分で洗うように促されるが、ここらあたりでようやく頭がすっきりしてくるという次第だ。
横綱昇進伝達式と口上。田子の浦部屋にはもう春が来たようです。