あらかたの葉失せ十月桜かな
「冬桜」という季語はある。
「十月桜」は季語ではないらしいが、辛うじて「十月」とあるのでお許し願おう。
一般には四季咲き、というか春と秋の二季咲きで、「春の桜」のようにぱっと咲いてぱっと終わるという潔さはなく、晩秋にはあらかた葉を落としても各枝にほつほつ、だらだらと咲き続ける。
冬桜も11月頃から年内くらいと春4月の二季咲きで一重なのに対し、十月桜は通常は八重咲きである。
十月桜と言っても初冬までは咲くので、この区別は厳密に考えることはないだろう。
冬なら冬桜と思えばいいし、十月に盛りを迎えているのなら十月桜で通じると思われる。
いずれにしても年が明けてから咲く「寒桜」はまったく違うものである。
ただ、いずれの花も、まわりの景色すべてが色褪せかけ、あるいは枯れた時期にあっても、遠目には何か咲いてるという発見、実感があり、思わず駆け寄って確かめたくなるものであることは共通している。