どんぐりの花

山腹を白く盛り上げ椎の花

雑木林のなかでは今椎の木の存在が際だっている。

椎の木は全体が白く盛り上がるように花がさくので一目で分かるからだ。
栗と同じ仲間なのだろうか、花は独特な匂いを放つので遠くから眺めるだけにしておいた方がいいかもしれないが、この位置を覚えておけば秋にはいっぱい団栗を拾うことができる場所になる。
もしかしたら団栗を狙う動物たちと思わぬ遭遇があるかもしれないので、秋になったら足を運んでみようと思う。

マイファームのすぐ近くにも花を咲かせている大きな椎の木がある。

日陰でも

旧宅の思い出ひとつ紫蘭咲く

ホームセンターで探すのだがなかなか見つからない。

この時分空き地などに紫蘭が咲いているのを見ると、家人ともども旧宅の思い出話にふける。
先日もクルマを走らせていたときこの花を発見したので、そのままホームセンターへ直行したがいい株がなくてその日は諦めたのだった。

旧宅ではどなたかに分けていただいた株をそのまま庭におろしただけで、その後ろくな手入れもしないのに株も増え毎年見事な葉とともに鮮やかな紫の花で目を楽しませてくれたものだ。

元祖臙脂色

子燕のめいめい大口広げをり

巣立ち直後と思われる燕が三羽、枯れ枝に止まって親鳥に餌をねだっている。

見ればなるほど、下あごから胸にかけてもう立派な臙脂色。Wカラーである。
揃いも揃って大口を開けて餌をねだる姿がかわいい。
多分一週間もしないうちに親離れして自分で餌を捕るようになるのだろう。
さいわい虫がたんと飛ぶ季節がやってきた。

目に染みる

しなやかに風にしたがふ若楓

楓の新芽はしなやかである。

か細い枝に透けるような葉がびっしりついていて、風が吹くたびに大きく揺れる。
一見頼りなさげに見えて、実は強靱な木なのである。

産毛のような

黒肌の幹をくねらせ柿若葉

斑鳩の里、築地塀沿いの道をぬけたあたりの民家に柿の若葉を見た。

黒松のようにがっしりとした幹を形成した柿の老木が、いかにも柔らかそうな若葉を茂らせているその対比には心惹かれるものがある。
この産毛のような柿葉もやがて夏葉になり秋葉になって里の季節を移ろってゆくのだろう。

不安定な天気

不意を突く雹雨におののく野菜かな

関東地方に雹が降ったというニュースを見た。

園芸店の外に並べてある苗が売り物にならないくらい被害を受けたことも報じられていた。
雹は4~6月に見られることが多いし、天気予報でもあらかじめ注意を呼びかけていたので「不意を突く」は不適切かもしれない。ただ、竜巻同様具体的にどこに発生するのか見当つかないうえに、僅かの時間のうちに好天が荒天に一転してしまうのはやはり対処の仕方がなく不意打ちの感が強い。

東日本は明日もまた天気不安定の状態が続くとのこと。
おののくのは、本当は生身の人間のほうなのである。

完熟の朝

さくらんぼ鳥が試食し去りにけり

南側の土地にはまだ家が建っておらず、かわりに数本のさくらんぼの木が植えられている。

どうやら早生のさくらんぼで今週あたりが食べ頃らしく、朝から鳥たちが偵察にやってくる。
今朝もつがいだろうか二羽のヒヨドリがやって来て、うち一羽だけが一粒を咥えると揃って飛び去った。持ち帰って試食でもするのだろうか。

オーナーの許可もとってあるので何粒か食べてみたが、いくらか酸っぱ味があるもののじきに完熟すると思われた。その朝にはきっと鳥たちの賑やかな声で目を覚ますだろうと楽しみにしている。