パンよサーカスよ

絵に描いたやうな小咄四月馬鹿

世の中にはサービス精神旺盛な人もいるものだ。

四月一日だからと言っては人を喜ばせる噺をメールや電話でよこすタイプ。
ネタを考えるだけでも大変だと思うが、毎年毎年律儀に送りつけてくる。
諧謔精神を著しく欠く身にはとても思いつかず舌をまいてしまうが、毎度ばかばかしいと思いつつ今年もまたどんな噺を聞かせてくれるのか楽しみにするようになった。

花見は気持ちよく

社名入りテントを組んで花の幕

さして広くない花見の名所で、某エンジニアリング会社の傍若無人の場所取りが批判を浴びたそうだ。

公共の桜は皆で楽しむもの。
それが開花期間を通して連日、相当なスペースを占拠し続けたとあっては顰蹙を買うのは当然だ。
会社は一部の人間が個人的にやったこととして謝罪したそうだが、大企業としてはお粗末すぎる話。

お互いマナーを守って、気持ちよく花見を楽しみたいものだ。

古豪対決に期待

花曇アルプス席の響もする
三塁側とみし歓声花曇

なんかすごいことになってきた。

あの智弁高校が決勝進出だと。
しかも、それまで零封されていたのが土壇場九回裏の逆転サヨナラ勝ちとは。
地元ニュースでもアナウンサーは大変なはしゃぎ振りだ。
ベスト4が39年ぶりで、決勝はもちろん初めて。相手の高松商業も55年ぶりだとか。

最近は新興チームの活躍がめざましいが、こうした古豪対決というのもいいものだ。
両校の投手もいいので接戦が期待できそうだ。
明日はテレビで地元高校を応援しなきゃね。

青函トンネルを行き来する

新幹線蝦夷へ貫き鳥雲に

26日に北海道新幹線が開通した。

青函トンネル工事に関わった人をはじめ、この日を長い間待ちわびた人々にとっては、感無量のものがあるにちがいない。
ただ、東京から函館まで4時間少々という時間を考えると、すぐさま飛行機便に取って代わるということも考えにくく、空と陸とで客の奪い合いになるにちがいない。
だから、遠くの客を呼ぶという観光の側面にとどまらず、海峡を距てた青函地域の経済や生活を含めた活性化という視点も加えた利用が望ましいだろう。

自分なら、青森、函館周遊券があれば便利だなあと思うけど。今までは、青森までの周遊券というのはあったけど、函館を含めたものが無かったから。

塩分控えめに

一連の尻尾焼け落つ目刺かな

目刺しを焼くとき、火勢が強すぎると尻尾のほうから焼け落ちることがよくある。

僕の場合、目刺しを食うときは、尻尾を摘まんで頭からかぶりつくので、尻尾がないと困るのだ。
箸を使って目刺しを食うとなると、もう庶民の目刺しとは言えないような気もしてくる。
それに、うまく焼けたら、残った尻尾の数で自分は何匹食ったかがよく分かるし。
(塩分控えめに馴らされてるので要注意なのだ。おまけに、干物はプリン体が多いとくる)

御朱印いただきに

旅心またぞろもたげ木の芽時
仏心にすがる気そぞろ木の芽時

万物が動き出すとき。

旅心、と言っても遠くである必要はなくて、小さい旅、たとえば近場の札所を巡って御朱印をいただくだけのような、ささやかな旅心がまたぞろもたげてくる。
関東で言えば、浅草周辺、北鎌倉の五山などがいいだろうか。
木の芽時は季節の変わり目で体調を崩しやすいと言われるが、草木から元気をもらうためにも、外に出て活発に動けばいい。気ふさぎなどしている暇はないのだ。
とりあえず、御朱印帳の新しいのでも買ってくるか。

2年ごとの憂鬱

根分して萩の肩身を広げけり

一般に株の根分けというのは、レフレッシュするのが目的である。

レフレッシュして株の勢いを回復させるのである。勿論、子株に分けたい場合にも有効ではある。
しかし、このたびは、あまりにも勢いが強すぎて周りの草木の伸びる余地を奪いかねないので、これをいったん掘りあげて小さな株に仕立てたかったのだ。
育ててみて分かったことだが、萩は手を入れないと背丈ほどに伸び、周囲に枝垂れるように広がる。
そこで、夏に2回ほど切り詰めてやる必要があるのだが、それでもスペースさえあればどんどん広がってしまうのだ。

ただ、掘り返すと言っても、2年もたってしまえばしっかりとした根をいっぱい広げるので、大変な重労働なのである。
これほど逞しい樹木というのは珍しく、2、3年したらまた頑固な根っこと格闘しなければならないと思うと気が重くなる。