因習の呪縛

朝曇意を決したる第一歩

朝から風もなくどよーんとした薄曇り。

こうした日はいやな予感がする。「日照りの朝曇り」だ。
何をなすにもちょっとした気合いが必要で、思い切って踏み出す決心がないと乗り切れないのである。

就活に忙しい学生諸君はなおさら気の毒だ。普段着慣れぬリクルートスーツの呪縛から逃れきれず、おいそれとクールビズでとはいかないようだ。就職活動の解禁日をルール化するのはいいが、かえって学生を苦しめてはいまいか。

耳を涼しく

短冊の風にくるくる風鈴市

川崎大師の風鈴市が有名らしい。

厄除けともなるだるま風鈴などはいかにも大師さんらしい。
当地でもバラのお寺として知られる「おふさ観音」で近年風鈴まつりが開かれていて、これは7,8月の二ヶ月にわたって厄除け参拝客向けに聞かせるものだ。

雨が続いている頃は足が遠のいていたが、梅雨明けとなれば一度は2,500個の風鈴が一斉に鳴るさまを見に行かずばなるまい。

心地よい場所

傍らに猫の寝てをり昼寝覚

居間の温度は32度。

文字通り梅雨明けとあって、暑さは厳しい。
さいわい、湿度は低く風もいくらかあるので日中一番暑い時間帯は畳の上で昼寝だ。

目が覚めたら黒猫「響」が窓際に一文字になって寝ており、全然起きるふうはない。
猫はしのぎやすい場所をよく知っていると見える。

何か為せと

蝉の朝忙し忙しと言ひ募る

鶯に代わって蝉がよく鳴くようになった。

それも、朝早くから「ワシワシ」と鳴くのは関西ならではのクマゼミであろうか。
もっとも、今では首都圏に進出して西特有のものとは限らなくなったかもしれないが。
雑用しながら聞くともなく聞いてると、あの騒がしい声はいかにも追い立てるようであり、時間がない、時間がないとばかり身に迫ってくるようにも聞こえる。
それでなくても朝からすでに充分に暑く、今日は特別さらに暑くなるぞと教えてくれるようでもある。

棚経をあげてもらう

古簾打たれしままの夜半の風

夏至からもう一月近くたとうとしているので、西日がだんだん厳しくなってきた。

簾は西日対策には必需品で、少々部屋が暗くなろうがいつも早めに掛けるようにしている。
最近はホームセンターなどで中国製などのがえらく安く売っているので、毎年買い換えてもいいようなもんだが生來の貧乏性のせいか去年のものも大事にとってある。
半面が焼けてしまってみっともないくらいなのは裏返しにしてリユース。網戸とともにうまく利用すればプライバシーも保てるし夏には重宝する。

台風が来るというので風に飛ばされないよう巻き込んであったものを、台風一過の今日はさっそく広げて吊り直し。
午後からの住職に棚経を挙げてもらう準備も整った。

故郷

異郷にて和上の蓮の連綿と

西の京は蓮の盛り。

ロータスロードと銘打って北の喜光寺を含めた三寺を巡り歩こうという企画もあるらしい。
西の京の蓮と言えば、もちろん唐招提寺の蓮が有名。なんと言っても鑑真さんが持ってこられた幾種類もの蓮を中心に、130鉢もの立派な鉢蓮と蓮池があって、それらを巡る境内歩きも楽しい。

ここ数日は台風の影響で足止めを食らっているので、天気が落ち着いたらぜひ見に行きたいものだ。

夏の敵

前年の蚊遣といふも香の褪せず

朝から蚊にやられる季節。

庭にちょっと出た隙にも喰われるので、最近は蚊取り線香を腰にぶら下げる毎日だ。
今日などは台風が来るというので簾なぞ取り込む隙をつかれて、蚊に侵入されてしまった。
閉めきった部屋で線香を焚くのはペットにはきついものがあるが、しばらく辛抱してもらうことになった。