枝くはへ鴉の巣にと編むならむ
築数十年の家だから庭木も相当大きい。
ここは城山台という、ここも信貴山麓の傾斜の厳しい住宅地で、世代の高齢化も進んだのだろうか空き家も目立ち始めている。そのうち一軒で、おそらくもう庭木の手入れもそれほどされてなくて、茫々になったままの古い柿の木の天辺で烏が枝を加えたまましきりに動いているのを見つけた。しばらく観察していると、どうやらその枝を頭を振り振りしながら千切ろうとしているのである。
やがて首尾よく50センチほどの枝を切り取ることに成功した烏は、それを咥えて住宅街の軒をかすめるように低く飛んでいった。おそらく近くのどこかに巣作りを始めたのだろう。
鳥にも猫にも恋の季節がやってきた。

