展望台

のっぽビルオープンを待つ雨水かな

この土曜日に阿倍野にオープンするデパートが記者公開されたそうな。

さらに、来月7日にはこのビルの展望台含めた全体が「グランドオープン」するという。今近鉄電車に乗ると各車両にはこのグランドオープン広告が吊られたり、張られたりしていてムードを盛り上げている。
折しも消費マインドが上向いてときでもあり、関係者はそれを追い風に一気にアベノを全国区にしたいところであろう。

一方、私は高いところがやや苦手なせいか、スカイツリーとかランドマークとか、この手の話には全く心が動くところがないんだけど、今回はまだよく知らない大阪や関西を高いところから眺めてみるのも一興かな、などと思ったりはしている。しているものの、やはり大変な行列に並ぶ苦行を考えるとその気も失せて結局一度も登ることはないのだろうけども。

挽歌

通学路拓く予定地犬ふぐり

小さい花が冷たい風に震えて咲いている。

団地住民念願の通学路の工事が始まった。現在指定されている通学路は遠回りのうえ、昔からの農家をぬける道なので狭くて見通しがきかず、父兄にとっては大変心配なことだったろう。
それが、このほどようやく行政の予算がついたようで、来年春の開通を目指してブルドーザーなどが田や畑などを次々と均している。犬ふぐりが群れ咲きしている校舎のそばの空き地も長い間ロープが張られて人の立ち入りが禁止されてきたが、ここも工事予定区間に入っているようでやがて重機が跡形もなく整地してゆくのだろう。

人の踏まぬようなスペースを見つけては自分たちの生きる場としてきたものたちも、やがて蹂躙され姿を消す。人間の近くに生きながら、その人間の都合によって左右されるものたちへささやかな挽歌を捧げたい。

結氷

薄氷の漂ひそめし岸辺かな

今朝は久しぶりに氷が張った。

氷と言ってもいわゆる春の薄氷(うすらい)で、日が昇ればすぐに解け始めるので、指ではじいただけですぐに漂い始める。
今週の半ばにはまた雪かもしれないという予報が出ているが、今年はもう氷が再び厚く張ることがないように祈りたい。

ところで、今回の大雪では以前に住んでいた東京西郊の町で車庫の屋根がつぶれた家が続出したという話だ。にわかには信じがたい話に驚くばかり。今週は無事にやり過ごしてもらいたいものだ。

一進一退

幹だけの街路樹なれど下萌ゆる

雪はすっかり消えた。

暖かい日に誘われて、當麻の動物霊園まで出かけた。2年前雪のちらつく寒い日に亡くなった子の三回忌の念仏を唱えてもらうためだ。竹内街道からちょっと外れた小高いところにあるので、所々にまだ雪が残ってはいるがどんどん解けている、そんな陽気の日で車の中は暑いくらい。
行ってみると思ったより高度があるらしく、畝傍が低く見えた。だが、雪の解けた蒸気がどんどん上がっているようで、最近は高見、大峯の雪の姿がよく見えていたのが今日は見渡せない。

今週の半ばにはまた天気が崩れるというが、こんな一進一退を繰り返しやがて本格的な春はやって来るのだろう。

雪から雨へ

春雪やだるま一夜の末路かな

雪が雨に変わったらしい。

昨日の大雪であちこちに雪だるまができていたが、今日はそれが解け始めていて、なかには原型をとどめぬほどやせてしまったり、背が低くなったり、あっけない末路をさらしていた。

大雪

春の雪今年二度目は嵩を増し
春の雪にはか遊び場そこかしこ
ご近所にスコップ貸すも春の雪
大股に急ぐ人ゐて春の雪
ご近所をそろと一周春の雪

奈良は15センチの積雪。

前回は夜のうちに霙、雨に変わっていたのでほとんど生活には影響がなかったのに比べ、今日のはすごい。ノーマルのタイヤのまま無理をして出勤していった車も随分あったようで、ここは上り坂でもあるし帰りはおそらく車を置いてくるほかはないだろう。
明け方から降り始め、2時間ほどで5センチは降ったろうか。その後も降り続け、通学時間帯には坂になってるうちの前で子供が尻もちをついたりしている。それでも、子供たちにとっては雪は友達のようで、嬉々として雪を丸めては攻撃のチャンスをうかがったりしている。

午後3時現在、小降りには変わったがまだ雪にはかわりない。そろそろ雪かきでもして子供たちの帰り道を少しでも歩きやすくしてやろうか。

花瓶を置く

蝋梅をほめて一枝剪りくれし

散歩中すばらしい蝋梅があったので声をかけてみた。

ちょうど満開一歩手前で枝振りとしてはピークと思われたのである。二言三言言葉を交わしているうち、持ち主がやおら剪定鋏を持ってきて一本持って帰れという。さらに、玄関においたら香りがいいよとアドバイスももらう。
ありがたくいただいて、芳香を楽しみながら帰宅したのはいいが、よく考えたら玄関はだめなのだった。なぜなら、若い猫どもに下駄箱の花瓶を割られたことがあって、以来いたずらの対象になりそうなものはすべて隠すしかなくなったのである。結局、我らが寝室が落ち着き先とあいなった。猫どもを入室厳禁にしているのはここしかないからである。