時候の句

向寒の候忌明け礼状時候とす

喪中はがきをそろそろ準備しなければならない。

ここ数年いただくことが多くなった喪中のごあいさつであるが、老親を送る、みなそういう年齢になったということであろう。さらに、今月下旬には四十九日法要があるので、その忌明け礼状を用意する必要がある。ただ文例には決まり切った型があるので、とりあえず時候の句さえ決まればあとは型どおりでよいので安心だ。

大和のバッカス神

杉玉や旨酒の神降りたまふ

今日は大神神社の新酒の「醸造安全祈願祭(酒まつり)」の日。大三輪の巳様はお酒の神様でもあり、全国の醸造元から奉納されたお酒も振る舞われる。
これに合わせて新しい杉玉に掛け換えられるが、これはやはり寒さがつのる日が似つかわしい。今日は今年一番の冷え込みとなった。

冬備え

降霜を予感する朝鉢仕舞ひ

この雨が過ぎると気温がぐっと冷え込むという。

午前中かけて蘭などの植物をこれから半年間眠らせるために家に取り込んだ。取り込んだのはどうやら植物たちだけでなくて鉢に潜んでいた虫たちも大挙して室内に。一番往生したのがカメムシで彼らの悪臭で頭が痛くなるほど。つごう10匹以上窓から退散いただいた。

銀杏黄葉

黄落の色に染めらる遠回り

お気に入りの道。

長い坂の両側に見事な銀杏並木。このブログに何回も出てくる隣町の住宅街だ。ずいぶん早く前に黄葉が始まり、昨日の風雨で散ってしまったかと思ったがまだまだ目を楽しませてくれる。

散り敷く

日もすがら降る雨木の葉くだしかな

今日は朝からずっと冷たい雨。

雲が低く暗く垂れ込めて、ときどき雨交じりの突風に見舞われる。
銀杏並木の道には雨に打たれた黄葉がこびりつくように散り敷いている。
桜も半ば葉を落として冷たそうである。

秘め事

山梔子の色に出にける思ひかな

紅葉真っ盛りの春日大社万葉植物園を訪れた。

さすが規模日本一とあって短時間ではとてもすべて頭に入りきれないほどの種類とそれぞれに因んだ歌の数々。多くの植物が冬支度でシーズンを終えようとしていたが、この山梔子は艶やかな葉に対抗するかのように実を橙色に染めていた。このあと気温がさらに下がるとともに赤に染めてゆくのだろう。

業平寺

業平の寺や山茶の初便り

山茶花の便りが届いた。

開祖が業平であるという不退寺(別名・業平寺)からのニュース。先日歩いた佐保川をさらに北の方に歩けば行き当たる。小さな寺だが業平自らが刻んだという「聖観音菩薩立像(重文)」がある。