運転歴

いくそたび免許書き換へ日脚伸ぶ

運転歴50年以上だから、10回以上は免許更新してきたことになる。

高齢者講習は事前に済ませているので当日の講習は免れるが、それでも行列につく時間の方が相変わらず長くもはや難行である。考えるに一月生まれという人が身近にも多く感じられ、毎年この時期は行列の列も延びるのではなかろうか。
ともあれ、更新されるたびに己の写真が老け顔になってゆくのであるが、試験場を出るときにもまだ明るくて日脚がひと頃よりずいぶん伸びたことを実感するのである。
たしかに、冬至の頃は高見山方面から昇った日の出が、今朝ではすっかり東寄りになって東山中の竜王山のほうにまで動いているのだった。「日短」がわずか二週間程度で入れ替わったことになる。
あと半月もすれば立春。この暖冬ではすでに春隣という趣さえある。

生駒冠雪

週末の見舞ならひに日脚伸ぶ

水面を返す光りに力が加わってきた。

直視すると思わず目をつむってしまうほど眩しい。
光りに力が増してくると同時に、日照時間もはっきりと分かるほど長くなってきた。
いつもなら、復元された大きな古墳のそばを素通りするのだが、これもまた復元された円筒埴輪の列が光りにくっきりと浮かぶのを見て、久しぶりに一番高いところまで登ってみた。
意外に高い。東山中の山々、音羽三山などもはっきり見える。それぞれ雪化粧している。昨夜の雨が高いところでは雪だった模様だ。そう言えば、今朝は信貴山の方から降りてくる車の屋根には雪が積もっていた。
生駒山も今朝は頂上部から暗峠にかけて雪模様だ。
ただ、夕方には解けてしまったのかいつも通りの黒い山容を見せていたけど。

生駒夕照

テレビ塔七基の日脚伸びしかな

どちらが言うともなく窓の外を見る。

午後5時となってもまだまだ明るい。
5時半を過ぎてようやく暮れなずんできた。
生駒山に夕日がさして、何基かあるテレビアンテナが輝いた。
外から戻ってくるとき南側から仰ぎ見るのが楽しみだが、なかんづくこの時期の景色が大好きである。

地上駅

サブウェイの地上に出でて日脚伸ぶ
髪切に寄って帰ろう日脚伸ぶ

夕方は随分明るくなった。

日の出は相変わらず遅いが、入り日の時刻がずんずん速くなっているようだ。
考えてみれば、冬至から一ヶ月ちかく暦は進んでいるわけで、夏至に向かって北半球はまだ5か月くらい日脚が伸びていくわけだ。
木曜日が大寒というから寒さはこれからピークだけど、その一方で春に向かっていることが実感できる景色というものを考えてみたのが掲句である。いつも乗る地下鉄が、郊外に出ていつの間にか高架を走っている。入り日はすでに没したようだが空はまだ夕明かり。いつも利用する駅に着いてもまだ明るさは残っており、ちょっと本屋にでも寄っていこうかという気になった。

ネット検索でいいなと思ったのが、

鮒釣の竿の先まで日脚伸ぶ 吉江潤二

一月も半ばを過ぎるようになると、ふとした瞬間に日脚が伸びたなと思うことはどなたでもあるのではないだろうか。

鬼は内

石塔の影整然と日脚伸ぶ

元興寺には「浮図田」と呼ばれる石仏群がある。

整列した石仏の間に落ちる影もまた整然とくっきりと、光も力を増してきたようである。
全部で千基ほどはあろうか、その間を巡る間にも、ところどころに、石仏に寄り添うように万両が紅い実を見せたり、紅や白、絞りの寒椿が影をつくったり、落椿に埋もれるようなところもある。
一つ一つ表情が違っていて、時間をかけて廻っても見飽きない趣があった。

お地蔵と背比べもし実万両
小仏にお手玉しんじよ実万両

豆撒の舞台験む頭かな
節分の設へ幕を残すのみ
幔幕を張つて節分舞台成る

この寺には「元興神(がごぜ)」と呼ばれる鬼が守っていると伝えられ、豆撒きのかけ声は「鬼は内」。吉野の金峯山寺も同じように「鬼は内」、大神神社はご神体が山であることから「鬼は山」というとか。

参考)元興寺節分柴燈護摩会のページ

場所の楽しみ

三役の力士登場日脚伸ぶ

冬至からすでに一ヶ月以上経った。

最も日が短い頃は5時にはすっかり昏かったのが、いまでは場所の三役登場の頃まで明るさが残るようになった。日が短くなるたびに気が重くなるようであったのが、ある日を境に日が伸びてくるようになると気分まで晴れるような気がする。まさに一陽来復であり、つくづく日の光はありがたいと思う。

さて、初場所だがダントツの横綱に早々と優勝を決められ、あとは全勝優勝成るかどうかというのはいかにも侘びしい。せめて明日は豪栄道に勝ち残ってもらいたいと願うのであるが。

入館時刻

閉館ののちも客ゐて日脚伸ぶ

5時を過ぎてもまだ明るいことに驚く。

朝は相変わらず7時10分ころに太陽が上がってくるのだが、日の入りは確実に伸びてきた。
そのせいかどうか地方の博物館は、少々入館時刻を過ぎても目をつむってくれるところがある。しかも、入場料はただでいいから早く中へ入れとまで。