情報交換

燕の軒の具合の品定め

複数の燕がしきりに鳴き交わしている。

子ツバメにしたらまだ時期が早いようだし。
営巣地としてこの辺りが相応しいかどうか情報交換してるかのようである。
前にも書いたが、近辺でここ数年は巣をかけるのを見てない。したがって、このブロックで巣立った連中ではないことは確かだし、まだ旅の途上なのかもしれない。
しばらくかわしていたあと、やがて二手に分かれて飛び去って行ってしまった。

電線団子

つばくろの八の字ループ昼の月

ずいぶん高いところを旋回しては去って行く。

しばらく野菜畑にタッチアンドゴーするように飛翔していたかと思うと、やがて大空をいっぱい使って高く旋回を始めた。
晴れ晴れとした青空を堪能するように燕の群が広い場所を飛び交っているのを、何もかも忘れてただ目で追っているだけの時間。数分だったろうか。先月にも燕が来ていたのを確認しているから、初燕ではないのだがひさしぶりに伸び伸び旋回しているのを真下から眺めているだけで時間を忘れそうになる。
のど元の臙脂カラーもしっかり確認できたし、燕独特の翼がすべるように描くループも悠然としていた。
群れているところから渡ってきた仲間、あるいは家族なのかもしれない。
首を上げていると、下弦の月が青空に白くクリアに輝いてもいた。このところはからずも心晴れ晴れする景におおく出会えるのはありがたいことである。
あと一か月もすれば一番子が巣立ちして黄色い嘴が電線団子という景に出くわすかもしれないと思うとわくわくさえ感ずるのである。

泥の家

戸を汚し巣をかけそめし燕かな

もしかしたら久しぶりにお向かいに燕の巣がかかるかもしれない。

戸の上の一羽と、電線の一羽が賑やかに声を交わしているのだ。
しかも戸口の上をよく見ると、泥らしきものがついていて、巣作りが始まったばかりのようである。
気にくわなければ放置してしまうかもしれないが、しばらくは見守っていたい。
あとはカラスのお節介がないことを望む。

若葉の山をバックに

つばくらめ生駒山を高く飛ぶ日和

昨日とは一転しての低温。

高かった湿度も今日はからっとして、季節はひと月もどった感じだ。
そのせいかどうか、今日の燕はやたらに高いところを飛び交う。
若葉でまぶしいほどかがやく生駒山をバックに一羽、また一羽。
しかし、気のせいかいくぶん燕は少ないようにも思うがこの先増えるのかな。
いよいよ春は深まってゆく。

燕の季節

川幅のかぎり猟場につばくらめ

大和川の川幅いっぱいに燕が飛んでいる。

不思議なことに堤防をはみ出しては飛ばないようだ。
今のところは川や河原には餌になる虫がいるのだろう。
住宅地に入ってくるのはこれからだろう。

雀始巣

巣作りは嫁が指揮する燕かな

畑の帰り、1羽の燕が民家の軒に入ったまましばらく出てこないのを目撃した。

近づいてみると、なんとそこにはもう1羽の燕がいて、飛んできたものとは明らかに違う声で鳴いている。やや間を置くようにして鳴くのだが、それはまるで相方に対して指示するような感じに聞こえるのだ。やがてまた相方は飛び出してゆくのだが、残った方は巣の形成に専念するのだろうか飛び立とうとはしない。
行きに通ったときには賑やかな鳴き声を聞いてないのでおそらく巣作りの初日だと思うが、住人は果たして玄関の頭上に作るのを許してくれるのだろうかちょっと気にかかるのであった。

七十二候では3月20〜24日は雀始巣(すずめはじめてすくう)。4月5日~9日が玄鳥至(つばめきたる)に当たるので燕の飛来は平均よりは随分早いようだ。

今日開花

燕の翔ぶや千年二千年

田原本町・唐古・鍵考古学ミュージアム
2千年前の楼閣再現

盆地中央に位置する唐古・鍵遺跡を訪ねた。

2300年〜1900年くらい昔の弥生時代遺跡である。出土品から東は駿河、北は翡翠産地で知られる姫川、西は吉備など広い地域との交流があったことが判明しており、河内潟から東へ最初の陸揚げ地であるここは東西を結ぶ一級の環濠集落であったらしい。
田原本町営の大変立派な「唐古・鍵考古学ミュージアム」でボランティアガイドさんからあらまし解説をうけたあと、絵画土器に描かれた絵を元に復元された高さ12メートルの楼閣に向かった。楼閣は江戸時代に構築された溜池の中に建てられており、池の周囲に植えられた桜は今日開花したばかりという風情である。楼閣を巻くようにして多くの燕が飛んでいる。まさに太古から続く営みである。