夕照に遊ぶ飛天や彼岸花
実は昨日唐招提寺の観月讃仏会の前に薬師寺に寄っていた。
この期間、解体修理中の東塔の相輪が一般公開されていたからだ。もうだいぶ傾いた日が差し込み、いくぶん黄みがかった空気に包まれた会場で、1300年もの長いあいだにしっとりした緑青がふいた水煙を目の当たりにした。笛を吹いて楽を奏でる天女がいれば、その上を縦横に舞う天女も透かし彫りされてそれはそれは美しい。写真でもよく見る有名な水煙だがほとんどがモノクロなので、実際に緑青を帯びたものを間近にすると「凍れる音楽」と賞された塔のシンボルにふさわしい、すばらしい作品だとあらためて思う。
すっかり白鳳の天女さんの虜になって、満ち足りた気分で彼岸花が咲く道を唐招提寺に向かった。