案山子コンテスト

昨日より距離を伸ばして曼珠沙華

汗を何度も拭う。

午前中のまだ涼しいうちにとリハビリ散歩。すっかり足の筋肉が落ちているので、3日目の今日はふくらはぎが張っている。あせらず少しずつ馴らしていけばいいとは思うのだけど、やはりこの暑さだ。足を止めては水筒の水を飲み、タオルで額の汗をぬぐう。今日は昨日より歩く距離をのばしたいので堤防を遠回りしていると、荻の生い茂る斜面のここかしこで曼珠沙華が芽吹こうとしているのを見つけた。これから半月のあいだ県内の各地で真っ赤な花を見ることができるのだろう。

飛鳥の里では曼珠沙華の咲く棚田で案山子のコンテストが行われているそうな。体力が回復できたなら自転車でも行ける距離なんだけど。今シーズン、間に合うかどうか。

村上春樹

白日や白き茸の生ふる道

不思議な景色だった。

川沿いの堤防の、日がよく当たる散歩道に、直径7,8センチほどまで育った茸が白く光っているのだった。夏の間誰も通ろうとしなかったせいか雑草も伸び放題で、おりしも勢いのいい葛の枝が今まさに径を覆おうとしていた。
茸のイメージというのは、木陰などで十分湿気があるような環境で育つというものだが、ここでは白昼炎熱にさらされて成長しているのだ。こういう種類もあるものかと自分に納得させるような思いで眺めていたが、なんとなく村上春樹の小説を読んでもいるような不思議な感覚にとらわれるのだった。

銀色の草原

投薬に託す命や荻の風

体力回復に努めねばならない。

あまりの暑さと仕事を言い訳に、二月以上もエアコンの効いた家の中に閉じこもっていたのはさすがにまずいだろうということで、駅前にあるかかりつけ医で薬をもらうのに徒歩で行ってみた。
途中大和川の堤防ではやや生ぬるいが、つい先頃までの熱暑にくらべれば実に気持ちいい風が吹いて、うっすら流れてくる汗も苦にならない。生温かい風はどうやら穂を膨らませつつある河川敷の荻の間を抜けてくるものだったが、ここは春には西洋カラシナの花で一面黄色に染まり、秋には銀色の草原が広がる、まことに自然の営みとは力強いものである。
ひるがえって、八種類の薬を一ヶ月分処方してもらった袋をかかえてトボトボあるく自分の姿は他人からみればよほど貧相に見えたにちがいない。

上ランク

秋はまず色に出にけり果実店

スーパーマーケットの話は昨日書いた。

最近は青果売り場に季節はないと言ってもいいが、それでも秋になった途端にさまざまな色の果物が並んで、もう十分に秋の空気を膨らませている。私はことに秋の果物が好きで、そのなかでも葡萄にはもう目がないくらいだ。当地に移ってさっそくフェンスに沿って苗木を植えたくらいである。ゴルビーという薄紫いろの大粒品種だそうで、あのゴルバチョフさんにちなんで名づけたとか。

当地は小規模のスーパーマーケットがやや乱立気味でどこもつぶれずに頑張っているのが不思議である。昨日行ったのはコープ系の店で明るくてきれいな印象を受けた。通路も広く取ってあるので歩きやすいし、このあたりでは上ランクになるのではないだろうか。関東ではコープ系の店というのは何となく薄暗いようなイメージを持っていたので意外であった。
ところ変われば、であろうか。

スーパーマーケット

腸より喰へばこれこそ秋刀魚なり

久しぶりにスーパーにつきあった。

目的は秋刀魚である。当地は塩秋刀魚とかはあるのだが、なかなか生秋刀魚を売ってない。今日はどうしても秋刀魚が食いたいなとなって、折り込みチラシで目当ての店を見つけ出かけてみることにした。
店に入ってみると、最初に目に飛び込んできたのが秋の果物。葡萄ひとつとってみてもいろいろな大きさや色があり、いかにも新鮮そうでどれも食べてみたくなる。しばらくスーパーなどから遠ざかっていたので、このみずみずしく命溢れるものたちにひどく感動した。

さて秋刀魚だが、こいつはまず腸からガブリ、これぞ秋の味である。

老害

長き夜に知る爺のマナーかな

今頃の若い者は、などとはとても言えない。

老人、特に爺の公衆マナーが極端に悪くなっているのではないか。
たとえば携帯電話の使い方。病院では所定の場所でと書かれているのに、大部屋のベッドから平気で外へかける人がいるかと思えば、深夜にもかかわらず操作音を消さないでピッポポッパする猛者もいる。病院だから痛みからくるうめきとか、咳とか、そういったものはお互い様で我慢できるが、自制すればみんな快適に過ごせるはずのマナー、実際には「周囲への思いやり」というものが欠如してしまっている。
年寄りには熟年という年相応の老成したイメージがあるが、実際にはとても到達し得ないほど遠くて、自分だけのことしか考えられない粗野をさらす人のなんと多いことか。
携帯電話に限っていえば、急速なITツールの登場・発展によってその使い方のマナー形成が間に合わなかったという側面があるが、人の粗野さというのはその人の教養レベルを表すものだけに、そういう人を生んだ世の爛れなのかもしれない。

今日無事に退院できました。みなさんの励ましに助けられブログ中断することなく続けられました。ありがとうございました。

患者の気持ち

病室で実り気になる我が田かな

お隣はどうやら農家の方のようである。

症状が治まってきたので早く退院させてくれと若い医者に懇願している。その後主治医らしい先生が出てきて、まだ無理をしてはいけない状況をわかりやすく説得していた。
そろそろ刈り入れの時期で稲の実りも気になるのであろう。