銀杏散る荒ぶる神の庭にかな
銀杏散り山寺いよよ寂びゆける
黄落のゼブラゾーンの轍かな
初瀬の素戔嗚尊神社の銀杏が遠くからでも見える。
与喜山の麓にある社の境内を埋めるように落ち葉が敷く。
大木であり、かつ大枝を四方に延ばしているので、太い幹を中心に同心円を描くように散るのである。通常、銀杏の大木ともなると途中で折れたりして樹形を保つものは少ないのだが、ここの銀杏は円錐形の姿が見事である。
この銀杏の黄色は長谷寺の舞台からもはっきりとよく見えるので、お詣りした後はどうしても足を向けたくなる。訪れる人もまばらで大銀杏の黄落を独り占めできるのも、またぜいたくなものである。
陰暦10月、神さまが留守とあって、ひとり大銀杏が留守を守っているかのようだ。