春寒の音たてすする茶粥かな
細き雨宙に吹き上げ春寒し
天気予報とは裏腹にまたも寒い一日だった。
おまけにときに小雨がぱらつき、これが北風に舞いあげられるというおまけまでつく寒さだ。
三月とはいえ風の冷たさに畑に出ることもためらわれる。
室内もかろうじて気温17度と暖房を入れる入れないの境目。猫どもに急かされていつもより早めのスウィッチが入り、足元を温めているうちにいつの間にかうつらうつらと。
動かない一日に、腹に軽くすませる茶粥となった。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
春寒の音たてすする茶粥かな
細き雨宙に吹き上げ春寒し
天気予報とは裏腹にまたも寒い一日だった。
おまけにときに小雨がぱらつき、これが北風に舞いあげられるというおまけまでつく寒さだ。
三月とはいえ風の冷たさに畑に出ることもためらわれる。
室内もかろうじて気温17度と暖房を入れる入れないの境目。猫どもに急かされていつもより早めのスウィッチが入り、足元を温めているうちにいつの間にかうつらうつらと。
動かない一日に、腹に軽くすませる茶粥となった。
聞き馴れぬ語学放送春眠し
ラヂオ第二を聞くともなく聞く。
童話あり、外国語ニュースあり、カルチャーラヂオあり、音の風景、ラヂオ体操などなど、しかし圧倒的に多いのが語学番組である。英語にかぎらず、世界の主な言語を網羅しており、英語などは基礎から上級ビジネス英語まできめ細かい。
もしも、ラヂオに対座して真剣に耳を傾けていれば各国の言葉を少なくともヒアリングくらいできそうなものだが、そこは「ながら族」の悲しさ、どんな番組もBGMのように聞き流しているわけだから身につくわけはない。
悲しいかな、この齢になってまるでかんたんに睡眠術にかかるように気がつけば居眠りしていることが多くなった。
とりわけ、朝の日課を終えて一息ついているとき、番組がひとつ二つ先に進んでいることもある。デジタルで聞いているので巻き戻せばいいのであるが、そこまでの気力も起こらない春である。
古アパート荒るるにまかせ春寒し
隣接していたスーパーが解体され新規建て替えとなったので余計に目立つ。
四階建てコンクリート造りのアパートの窓という窓はベニア板で覆われ中の荒れようは外からは見えなくなったが、それまでは不法投棄と思われる大型ゴミが山のように積まれ目も当てられない状態であった。これが最寄りの駅前でかつ往来の多い県道に面しているのでいやでも目に入ってくる。
解体となると数千万円はかかると思われ、そうした負担が嫌われたかいっこうに解体工事の話しは聞かない。古い建物が放置されるのは往々にして相続の問題があったり、権利関係がはっきりしないことがあるようである。
防犯上も問題ありそうで、付近住民も困ったことと頭を悩ませていることだろう。
ロケーションのいい場所に鼻つまみがでんと座っているのをみると、今日の春の寒さがいっそうしみてくる。
月替はり木の芽起こしの雨なりけり
ここ数日の雨で景色がすっかり変わったようだ。
土は黒さをまし、木々の芽はさらにふくらんで芽ぐみを待つばかりの様相を呈してきた。
春を実感するも移ろいやすい天気が続くこの時期は、「木の芽時」とも言われ体調には変調をきたしやすいと言われている。
できるだけ変動の影響を受けないよう、暮らしのリズムを守りたいものである。
啓蟄の雨に凍ゆる日なりけり
今日は啓蟄だが、雨で寒い一日となった。
すでに野では蛙の声も聞かれたが、こう寒くては餌となる虫も少なく本格的な活動の日は遠のくばかりであろう。
人間とて同じで、こう雨が多くては予定していたものも思うに任せず気ばかり焦りもどかしいことである。
ここのところ句会の成績もぱっとせず、雨をさいわいに次回の題に相対して作っては消し、書いては消しの一日を過ごした。
即吟も大事だが、このようにいちどいくつか詠んでみると次の日にはまたあらたな角度へと広がることも多く、何とか形になるものが見えてくるときがある。
目指せ五千句も質を問われれば限りなく先のことではあるが、まづは十三年ここまで続けて来れたことをもっておのれを慰めているのである。
ちらし寿司でて知る桃の節句かな
昨日はめずらしくちらし寿司が食卓にのった。
そのときはなぜちらし寿司なのか考えようともせず平らげたのだが、どうやらそのことは家人には申し訳ないことをしたようである。
家人が何も言わないものだから、夕食後風呂に浸かっていてようやく桃の節句であることに気づいたのである。その辺りはどうにも鈍くていけない。風呂をでてそのことを話すと黙って聞いてくれたのが救いであるが。
海老(長生き)、蓮根(見通しがよい)、錦糸卵(金運)とお約束のネタはしっかり入っていた。
爪楊枝二本使うて目刺かな
歯茎が衰えるとすきっ歯になるようだ。
そのせいで、いつの間にか楊枝の世話になることが多くなった。とともに、食卓の上には四六時中楊枝が置かれるようにもなった。
隙間が広がったので楊枝で簡単に取れることが多いのだが、それでもなかなか厄介なのが魚の小骨である。顎がはずれるのではないかと思うくらい大口開けては奥歯の裏と格闘する姿は、本人からすれば必死なのだが傍から見ていたら滑稽に映るにちがいない。
材料の木材も貴重になって高級な楊枝などふだん使いには買ってられないので、すぐに先がつぶれたり折れてしまったりで下手すると一本で済まないことがある。
目刺の骨程度ならそんなに格闘するほどでもないが、苦手なのがメバル、カレイなどの太くて固い骨。これらは下手すると歯に挟まる程度で済まないこともあって痛い思いもする。