強風に耐えて

大池に映ゆる残花の孤影かな

今日は北西寄りの風が強かった。

やや季節が遅いが「貝寄風」と言っていいくらい。もう少し早い時期だと「強東風」「荒東風」という季語もあるが、それとはやはり違う風だ。
大きな木が揺らされて、開き始めたばかりの若葉、若芽が今にもちぎれそうである。
そんな強風でも、しなやかに受けて頑張る桜の木があった。白い花びらだったので大島桜だろうか。一部の枝は花びらが落ちて蕊となっているのもあったが、その枝だけが赤みを帯びているのでよく目立つ。全体には枝振りがみごとで、強風でも花びらは簡単には散らされそうもない。あと2,3日くらいは楽しませてくれそうな気がする。

馬見丘陵公園のチューリップはすっかり開いて、客足もまばらになった。
次は新緑のまぶしさに目が移ることだろう。

夢の中でも

晩飯を記憶に探る朝寝かな

認知症というのは近々のものから忘れてゆくのだと言う。

因みに、朝食った物や昨夜食った物をすらすらと言えるかどうか。これが怪しいとちょっと心配した方がいいらしい。
掃除機の音に寝覚めながら、昨夜食ったのは何だったとか反芻してみて「ああ、まだ大丈夫」と安心してまたうとうとと。朝寝はつくづくいいものである。

飽きもせず降る

引き籠もる術も覚えて菜種梅雨

それにしてもこの春はよく雨が降る。

雨が上がりそうなので外出の用意をしていたらまた降ってきたりして、なかなか遠出をする気持ちにはなれない。逆に、部屋の中でうまくやり過ごす方法なども身について、もうしばらくは雨が続いても保つような気がする。

紫野ゆき

町内会勤労奉仕花菫

今日は自治会の月一回のクリーンデー。

住宅地の歩道、公園の清掃・除草などをみんなで一斉に行う日だ。
天気もよくて活動にはまずまずの天気。間もなく終了かと思われた頃、更地の一区画に目が引きつけられた。そこは紫の絨毯。菫だ。他の区画は嫌われ者の外来種がやたら繁茂しているというのに、そこだけがまるで種でも蒔いたかのように別世界。

溶け込む

峠まで花の名残を惜しみけり

里の桜はおおかたは終わった。

というので、少し高いところに登ればまだ花が残っているかもしれないと、大阪方面に出かけた帰りは竹内峠を越えることにした。狙いはずばり当たり、峠近くの桜は満開が過ぎたとは言えまだまだ楽しめる状況。こういうのを残花と言うのかどうか知らないが、名残の桜もなかなかいいものである。
山全体を見てみれば、終わりを迎えた山桜が今しも新緑の山肌に溶け込んでいくばかりで、やがてそこに桜の木があるとは誰も分からなくなるにちがいない。

蛙股池に囲まれて

新入生美しき校名胸はって

学校は周囲を池と丘に囲まれていて、鶯などの囀りが賑やかだ。

さらに、池のほとりには桜が植えられており花びらに包まれて登下校できる恵まれた環境。
真新しいランドセルを背負ってやってくるのを捕まえて校名を尋ねると、「あやめ池小学校」といういかにも伝統ある美しい名をはっきりと大きな声で答えてくれた。

散りしいて

花屑をかしこにタイヤ回りたる
花屑の無垢悲しけれ雨上がる

雨が上がり、花が道路に散り敷いている。

車のタイヤにも、靴の裏にも、道路をゆくものには花びらがひたひたと着いてゆく。