欠伸して猫のおくびの冬日かな
三月の気温だという。
バイクに乗っても寒くはない。
風もないし、少し動けば汗がでる暖かさにつられていつもなら行かない所に踏み込んでいる。
厚く落葉が積もって枝越しの光がそそぎ、そこはいかにも暖かそうである。
野良猫が大きな欠伸をみせて逃げる気配もない。まことに長閑な一日であった。
めざせ5000句。1年365句として15年。。。
欠伸して猫のおくびの冬日かな
三月の気温だという。
バイクに乗っても寒くはない。
風もないし、少し動けば汗がでる暖かさにつられていつもなら行かない所に踏み込んでいる。
厚く落葉が積もって枝越しの光がそそぎ、そこはいかにも暖かそうである。
野良猫が大きな欠伸をみせて逃げる気配もない。まことに長閑な一日であった。
日脚伸ぶ影は隣のものとなり
午後五時の空の色がだんだん濃くなってきた。
心なしか日差しにも強さが戻りつつあるように感じる。
とくに今日は暖かくなったせいもあって陽だまりが心地いい。
そんなことから畑仲間といつになく長話となって気がついたら無線放送の「きらきら星」が鳴った。いわゆる子供向けの「帰れコール」である。秋から冬の期間は午後五時に鳴ることになっている。
庭にいるみぃーちゃんはこれが鳴ると夕ご飯の時間だと思ってて、定刻よりも一時間も早く夕飯をねだる。風も冷たくて本当に寒いときは待たせるのも可哀想なので早めにはやることにしているが、今日などは急いでやることはない。それでも30分以上の早飯であるが。
寒晴の峰のひとつに弥山あり
今冬初めて外水栓が凍りついた。
予報では零下一度だったが、もう少し低かったかもしれない。薬缶の湯をかけたらすぐに温む程度ではあったが、例年ならばこうした凍結は二、三度起きるので驚くことではないが、寒明まであと20日ほど。ここ数日は3月並の気温だと言うし、例年より寒い日が多くとはならないような予感がする。
放射冷却で冷えたわけだが、その見返りに今日は一日中よく晴れた。大峯の山々の稜線もくっきり見えた。あいにく山上ヶ岳は数ある峰のなかでどれと識別できないが、私の家からは弥山、すなわち八経ヶ岳がひときわ大きい台形模様で一目でそれと分かる。
どれもうすく冠雪しているようだが、二月にならないとはっきりと真白には見えてこない。つまりこれから二月にかけて通る南岸低気圧による雪を待たねばならないのだろう。
午後五時になっても空はまだ青色を見せている。日脚はじょじょに伸びている。
水仙の門におりたつ車椅子
水仙のさなぎのごときヴェールかな
近所のデイサービスホームのアプローチの水仙がふくらみ始めた。
いまは蕾がうすい膜のようなもの包まれて、まるで羽化する前の蛹のようである。
送迎車から降りるたび、乗るたびに来訪者の目に止まって楽しませてくれるといいが。そんなことをふと考えながらホームを過ぎてゆく。
数日前、NHKスペシャルで脳科学者の娘と認知症の母親との日々を追ったドキュメンタリーを見た。アルツハイマー型認知症で脳の萎縮が進んでいるが、脳のすべてが侵されるわけではなく、人によっては高度で複雑な感情を司る部分が正常であることもある。言葉に発することは出来なくてもだ。
そのサインを細かく観察しながら冷静に寄り添えることによって交情が十分にはかれることも知った。もし自分が発症したとして路傍の花に気を止められるかどうか。身ほとりのちょっとしたことに目がいき、いくらかのプラスの感情をもたらしてくれるかどうかは、健康でいるうちの感受性をいかに養うかであると思うのだが。
多事多端だれそれ抜ける初句会
今年の初句会。
ZOOM合評会である。
あいにく新年の諸行事や所属結社の句会と重なったりしてメンバーはいつもより少ない。
健康を取り戻して久しぶりにカムバックした仲間、帰省した子供たち、孫たちの世話に終われてうっかり投句機会を逸した猛者など正月ならではの背景もさまざまである。
参加人数が少ない今回は確率からいって互選のチャンスが広がるのだが、そうは甘くはいかないのもまた現実。
日に一度火にかけ十日寒の豆
年末に炊いた豆が長持ちしている。
毎日毎日食べても飽きない黒豆が、今年はどういうわけかなかなか減らないようだ。
好物だからそれはそれで問題なしなのだが、これだけ毎日火を入れても腐らないというのはやはり寒中だからこそなのではあるまいか。
寒というのは腐敗のもとになる微生物の活動も鈍く、水にせよ餅にせよ腐りにくくむしろ体にもいいとされてきた。
また寒紅、寒仕込みなどこの季節に作られるものは品質もいいとされたいそう珍重される。
おおいに栄養価の高く、滋味ある卵を食べて健康維持に努めたいものである。
着ぶくれて腹たらふくに居眠りす
外は気温が上がらず、出渋っている。
昼の後、落花生を食べ出したらこれが止まらず腹にこたえるほど食べてしまった。
腹がふくれれば眠くなるのが相場だが、太陽も厚い雲のかげで部屋の温度も上がらず炬燵に足を突っ込んでいても一向に足が温まらない。
とうとう暖房まで入れて寒さをしのぐことになったが、さすがにビデオの途中で眠りに落ちたようで今日締めきりの稿の推敲もせずに終わってしまった。
正月も六日となると緊張感も薄れるのかもしれない。