をちこちの序章終章法師蝉
さすがにこの時期になるとアブラゼミは聞かない。
昼のツクツクボウシ、夕のかなかな。
いずれも晩夏の趣に富み、この季節には欠かせない千両役者である。
かなかなは言うまでもないが、ツクツクボウシというのもよく聞いているとなかなか味があって、止んだかなと思うと間もなくまた「じーぃ」と最初から鳴き始め、いよいよ佳境に至るとテンポを一段と早めて最後には「じーーーーー」で終わりを告げる。
これがあちこちにいると、さながら何部もの輪唱のように聞こえてくる。
このような、ちょっと他の蝉とは違うところが面白いと思う。