季節を運ぶ

色鳥や視界の端を横切れり

2階の書斎にいたとき、視界の片隅をよぎるものがある。

行く先を確かめてから双眼鏡で確かめてみると、羽の部分にある特徴的な白三角形からジョウビタキの雄だと分かる。前の住まいからは既に先月目撃情報が寄せられているので驚くことではないが、やはり季節の鳥がこのようにして間近に見ることができるとうれしくなる。小さな鳥で色の美しいものを総称して「色鳥」というが、晩秋の季語になる。
そういえば大和川でもようやく緋鳥鴨の姿が増えてきた。冬鳥ウォッチングの季節到来だ。

甲賀路

猪垣の崩れしは田の放棄らし

澤口先生の個展の帰途は思い立って鈴鹿峠越えの道を選んだ。

R307で甲賀・水口経由信楽へ出てR422で伊賀へ廻る算段だ。
険峻で鳴らした天下の峠も今では道幅も広く、あっけなく「あいの土山」へ。道の駅で昼食をとろうにも市民マラソン大会のあおりで満車状態。仕方がないのでひたすら信楽をめざす。途中「紫香楽宮跡」という標識があったので車を停めてみたがそれらしきものがさっぱり見つからない。信楽焼店舗を兼ねるうどん屋でようやく「松茸うどん」にありつけた。久しぶりに松茸の歯ごたえを堪能して再びR307に戻る。
R422に入るとやがて伊賀への山道になるが谷戸という谷戸の周囲が低い猪垣に囲まれている。ここらあたりは昔から猪垣が多かったとみえて次のような句がある。

猪垣が見え四五戸見え奥近江 久米幸叢

廻る寿司

廻る寿司頬張りをりぬ文化の日

どこで食うか、さんざ話し合ったあげくが回転寿司。

11月3日は家人の誕生日で夕食は外でとなったが、これといった店を未だ見つけてないので結局全国ブランドのチェーン店ならということで「XX市場」に行ってみることにした。
店に入った途端ここは居酒屋かと思うような煙。最近やたら「炙り」と称してガスバーナーで表面を焼くのが流行っているがここのはもっとひどい。それだけでもう幻滅してしまった。

2回目の冬

秋深し盆地の暮らし慣れたるや

ここ数日寒い日が続いています。

今日は11月末の頃の陽気だそうです。鉢物に注意しないと枯らしてしまう恐れがあるので毎日天気予報とにらめっこ。この日曜日は下手すると5度を切るかもしれないので、明日あたりは部屋へ取り込もうと考えています。

霜月

霜月の暦の写真は子猫かな

今日から十一月。

今月のカレンダーをめくると、つぶらな目をした子猫の写真だった。
野良ちゃんは相変わらず朝夕に来ては餌をおねだりしてゆくが、ぐんと冷え込んできたこれから夜はいったいどこで寒さをしのいでいるのだろう。

御物

秋園に瑠璃の妖しや人の列

奈良公園内の国立博物館で恒例の正倉院展が始まった。

今年の目玉は瑠璃杯と螺鈿紫檀琵琶。特に前者は古代のガラス工芸の粋を集めたもので、往時を偲び古に思いをいたすには格好の逸材。会期は意外に短いので見逃さないようにしなくちゃ。

浪速弁

甘味には塩昆布添へてそぞろ寒

大阪・ミナミをぶらぶらしてみた。

昼にお好み焼きとタコ焼きを食ったばかりだが、法善寺横丁とくればやはり善哉だろう。しっかりした甘味をさらに引き出す塩昆布。腹の別の場所に簡単に収まった。
ゆかりの淡島千景、浪花千栄子やらミヤコ蝶々などの写真などもあって、浪速言葉が今にも聞こえて来そうだった。